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岡田彰布コラム

岡田彰布コラム「上原の引退で思い出す巨人対阪神戦がある。お手本のような投手やったわ。松坂問題のカギは“立場”やな」

 

上原はホンマ、投手の鑑のような存在やった。あのコントロールは素晴らしく、名投手の一人といってもいい選手やった。お疲れ様


生き様はまさしく雑草魂。同じ大阪人で親近感はあった


 忘れられぬゲーム、思い出に残る試合……。選手、コーチ、監督時代と長い野球人生には数多くの印象深い試合があるが、2007年9月7日の巨人戦はそのひとつや。

 オレが阪神の監督になって4年目、常に優勝争いをしてきたけど、このシーズンもそうやった。巨人と中日とでの競り合いの中、舞台は東京ドームの巨人戦。その日はとんでもない展開になった。東京ドーム=打ち合い、空中戦。そんな定説どおりのゲームよ。ただし、巨人だけな。阪神の先発はボーグルソンやったけど、巨人打線にコテンパンに打ち込まれた。リリーフ陣を含め、ナント、1試合7ホームランを浴びた。

 内訳はこうよ。高橋由伸に2本、イ・スンヨプに3本、ホリンズに1本、二岡(二岡智宏)に1本……。なんともすさまじい打たれっぷりやったけど、これなら普通、2ケタ失点やろ。ところが巨人の得点は8点。高橋由の2本のうち1本が2ランで、あとの6本はすべてソロ。奇跡的な結果やった。

 対する阪神打線はというと、大きいのが出ない。でもつないで、つないで、ヒットを打ちまくって8点。終盤まで同点で進んだ。そして思い出の場面がやってくる。9回表、ここではオレはとっておきの代打を送る。そう、桧山進次郎よ。マウンドには巨人の抑え、上原浩治です。すると上原の投じた低めのフォークボールを、桧山はうまくバットに乗せた。芸術的なさばきやった。打球はライトスタンドにまで届いた。この1点で阪神は逃げ切った。9対8というスリリングな展開とともに、ホームラン7本に対し、たった1本のホームランで勝ったことが、強烈やった。こんなこともあるんよね。ホームラン7本を打たれても負けなかった奇跡。1本のホームランで勝てた奇跡……。チームには自信が芽生え、巨人はとてもショッキングは敗戦になったわけである。

 どうしてこの試合のことを思い出したのか。もちろん、マウンドで悔しそうな顔をして打球を見送った上原が、引退を表明し、記者会見を行ったからよ。巨人に入団し、ルーキーでいきなり20勝。入団以来先発の軸だった上原は、あのときは・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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