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岡田彰布コラム

岡田彰布コラム「今季の特別ルールはチーム力、総合力、選手層の厚いところが優勝を争う。阪神には追い風になるよ」

 

外国人枠が4人から5人になったことで阪神のようにスタメンに3人の外国人野手が並ぶ可能性がある。より実力のある外国人を持っているチームが有利なシーズンになりそうだ/写真=早浪章弘


阪神のアイデアに交流試合、球児たちの心は救われたよ


 兵庫県西宮市の自宅にも、大阪玉造の実家にも“それ”はない。現役時代、さかのぼってアマチュア時代に贈られた盾やトロフィー、記念のボールがあるのに「甲子園の土」だけがない。

 オレは北陽高(現関大北陽高)のとき、甲子園に出場している。1年の夏である。激戦区の大阪を勝ち抜いての出場やった。そして大会では途中で負けた。敗戦後、3年生は甲子園の土を集めて持ち帰った。1年のオレはそんなことしなかった。そのときに思ったこと。これから先、何度か甲子園で戦える。甲子園の土は最後に持って帰ろう、そう誓ったわけだ。

 ところが現実は違った。2年のセンバツは出場が決まっていたのだが、不祥事が発覚して辞退となった。以来、ついに甲子園への道が開けることはなかった。だから、記念の土が手元にない。今になって、持ち帰っていたら……と思うこともあるけど、まあ、仕方がないわね。

 今年、センバツ、夏の甲子園が中止になった。新型コロナウイルスの影響で、高校球児は泣いた。そこで、阪神が考えてくれた。全国の約5万人の球児に「甲子園の土」をプレゼントするというもの。甲子園に立てなくても、3年間、甲子園を目指し、野球に打ち込んだ証しを、甲子園の土に込めて……。何とも愛あるアイデアであり、ホンマ、素晴らしいことと拍手を送りたい。

 さらに6月10日、中止になった今春のセンバツに出場が決まっていた32校による交流試合が8月に1試合限定で、甲子園で行われることが発表された。何とか夢舞台でゲームをさせてあげたい……と考え、ここにたどり着いた。ならば夏の大会もできたのでは、なんて声も上がるだろうが、とにかく、この機会が生まれたことで、球児たちの気持ちは救われただろう。悔いなく、ハツラツ、そして甲子園を存分に楽しんで戦ってもらいたい。

 さてプロ野球だ。6.19開幕である。無観客でも開幕だ。ベンチではソーシャルディスタンス、ツバ吐きはダメ、大声は出せないし、ハイタッチもダメ。それでも開幕だ。待ちに待った時が来る。

 読者の皆さんがこのコラムを読んでいるのは開幕前日くらいか!? 特別なシーズンだけに、選手たちの気持ちの高ぶりは相当だろう。もちろん監督もそう。オレも開幕前夜は・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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