ファンあってのキャンプ

　毎年2月、沖縄は県全体に野球ファンがあふれていた。道路はレンタカーばかり。夜の盛り場はどこも超満員で、もちろんキャンプ地はファンで埋め尽くされていた。これが当たり前の世界とずっと思っていたけど、今年は違う。

　独自の緊急事態宣言が発出された。これにより、沖縄でキャンプを張るすべてのチームは、無観客で、ということが決まった。覚悟はしていたが、実際に決まってしまうと、ホンマさみしい気持ちになった。プロ野球とファン……。切っても切れない関係よ。ファンの応援、あと押し、声援がどれほど力を与えてくれたことか。それは試合ではないキャンプでも同様よ。ファンの目、声、これによって選手は力を得る。チームとしてもファンに感謝する。例えば土、日曜の人出の多い日は、あえてショー的要素を練習メニューに組み入れる。主軸のランチ特打だったり、特守だったり、ヘトヘトになるまで動き、間近で見守るファンから声援が飛ぶ。だから、もうひと踏ん張り……。キャンプならではの光景ですが、これがさらなる成長を呼ぶものになってきた。

　昔、現役バリバリだったころ、特守が入ったときはいつも掛布(掛布雅之)さんと同じ組やった。ファンの皆さんの視線を感じ、いつも以上にヒートアップしたことを思い出す。やっぱりファンあってのプロ野球……。無観客が決まったからこそ、あらためて大切さを痛感する。

　オレのスケジュールは現状で、変更はない。阪神の宜野座キャンプの第2クールから沖縄に入るのだが、その阪神、矢野監督が早々と3.26開幕投手は“西勇輝”で、と明らかにしたと聞いた。順当な選択である。昨季までの実績を考えれば、当然だろう。でも、・・・