週刊ベースボールONLINE

岡田彰布コラム

岡田彰布コラム「選手はホンマに『普通』に戦っていた。チームの成長をひしひしと感じたよ。こんなに早くに胴上げとはね……。次は38年ぶりの日本一を目指すよ」

 

9月14日、巨人戦(甲子園)。11連勝で「アレ」を決めた。阪神としては18年ぶり6度目の栄冠。今季、指揮官として復帰して1年目で優勝を達成。この歓喜をどう味わったのか……。
写真=BBM

6度目の優勝……いや「アレ」ってことで6回胴上げをしてもらった。18年前もオレが胴上げをされたよ


巨人を相手に優勝決定!


 週刊ベースボールの読者の皆さん、お久しぶりです。阪神タイガースの監督、岡田彰布です。月に1度の「そらそうよ」、今月は皆さんにご報告があります。というか、もう、分かっていますよね。ハイ、タイガースが「アレ」しました!

 いや、アレはもういいです。そう「リーグ優勝」することができました。本当に応援していただき、ありがとうございました。

 あらためて、こんなに早く決まるなんて……という感じです。オレは常に「勝負は9月」と言ってきたけど、その9月、チームは負けないのです。当面のライバルだった広島に3連勝するなど、9月はスタートから連戦連勝。気がつけば、マジックナンバーがどんどん減って、それで9月12日から甲子園での巨人戦を迎えた。

 そら意識します。広島の勝ち負けによるところもあったけど、本拠地でアレする可能性が高まったわけで、さらに相手が巨人。甲子園、巨人という最高の舞台設定……。ホンマ、何かに導かれたような感覚やった。

 相手ベンチには原辰徳がいる。当然、思い出すわけです。何を? 2008年のことが頭に浮かんだ。絶対に優勝すると確信していたあのシーズン、後半に巨人の逆襲にあい、13ゲーム差をひっくり返された。それが理由でオレは監督を辞めることにした。

 あれから15年もたった。50歳のオレは65歳を迎えていた。原も年を取った。でも、戦う上においては関係ない。心の中で、15年越しのリベンジ。そういう個人的な思いもあった。

 9月14日、マジック「1」で臨んだ巨人戦。ここでオレは感じた。それはチームの成長だった。もちろん高ぶりやプレッシャーはあっただろうけど、選手はホンマに「普通」に戦っていた。こういう局面でも、普通に戦えるようになった……。これが本当にうれしかった。

 よくマスコミを通して「普通にやればいい」「大事なのは普通に戦えるかどうか」と選手に伝えてきた。それは簡単なように思える。でも、この“普通”にというのが難しい。それはオレ自身、よく分かっていることやった。でも、あえて求めた。それは真の強さを身に付けてほしいからやった。

 大山(大山悠輔)の犠牲フライ、佐藤(佐藤輝明)の2ラン。終盤には相手のミスで加点。最後は岩崎優をマウンドに送り、1点差になったけど、逃げ切ることができた。それが9月14日、これだけ早い胴上げになるとは、オレ自身、予測していなかった。「早過ぎるやろ」。思わず言ってしまったけど、それほどチームに負ける要素はなかった。

若い選手に可能性を感じた


 ここに至るまでのことを振り返ってみた。昨年の9月に監督の就任要請を受け、再び阪神に戻ることになった。いろいろと目指すべきチームスタイルがあった。オレは・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング