恵まれた体格で行う攻守走は、その外見とは対照的に器用さを感じさせる。今年27歳のオールドルーキーが目指すのは、真のオールマイティーだ。 はじめの一歩で、カベにぶち当たった。2月の春季キャンプ。
大島洋平や
平田良介ら一軍の主力陣の姿に目を奪われた。「きれいに打球を飛ばすし、一つひとつのプレーが細かい」。1年目の
阿部寿樹は、純粋に実力差を感じた。
加えて、想像をはるかに超えた練習量。早朝から日が暮れるまで、12球団随一と言われるほど。正月休みで少し緩んだ体では「やばい、これ」。不慣れな環境で、注がれる首脳陣やファンの目線。肉体的、精神的に追い詰められ、わずか2週間での二軍行きだった。
「このままやっても、うまくなれない。全部白紙の状態からやろう」
プロで受けたあまりの衝撃に、築いてきた自信やプライドは簡単に砕かれた。基礎体力の強化や守備の基本動作など、土台づくりの日々。「守備も打撃も下半身」と口酸っぱく言われた。
3月の春季教育リーグでは、5試合で13打席に立って1安打。ウエスタン・リーグ開幕後も、7試合連続で快音が出なかった。結果がほしいあまり、バットを当てにいく悪循環。そんな姿を見かねた
小笠原道大二軍監督から・・・
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