トミー・ジョン手術から復帰し、今季は若鷲のクローザーを務めている。一回りも二回りも大きくなった体躯に成長を続ける投球とメンタル。4年目左腕がフレッシュかつ堂々と、自慢の直球で一軍昇格に向けアピール中だ。 取材・構成=阿部ちはる 写真=佐藤博之、BBM 2023年3月にトミー・ジョン手術を受け、昨年9月に復帰登板を果たした。オフにはウインター・リーグに参加し実戦感覚を取り戻すと、今季は二軍の開幕からクローザーとして9回のマウンドを任されている。直球の力強さも日に日に増しているが、一軍に向けては課題も手にした。昨季までの二軍登板はわずか4。静かに爪を研いでいた左腕がようやくスタートラインに立ち、一軍マウンドに向けギアを上げている。 ──トミー・ジョン手術とリハビリを経て、昨季9月10日のイースタン・オイシックス戦(森林どり泉)で実戦復帰しました。久々の試合のマウンドはいかがでしたか。
泰 リハビリ明けの最初のころは、出力は出ていたのですが準備不足も露呈してしまいました。復帰戦でサインミスもしてしまいましたし、投げること以外の準備ができていなかったんです。試合のマウンドに上がる難しさをあらためて感じましたね。
──その経験を経て、今季は開幕から順調に登板数を増やしています。7月17日時点で29試合に登板し防御率1.32をマークするなど手応えを感じるシーズンになっているのではないでしょうか。
泰 基本的に僕は真っすぐ中心のスタイルなので、球速も徐々に上がってきて、152キロまで出ましたし平均球速も150キロに乗ってきたので、手術明けと比べればだいぶ成長を感じています。ただ、真っすぐを引っかけてしまうこともあり、制球力はまだまだ課題ですね。
──同日時点で四球は19。コントロールはさらに高めていきたい、と。
泰 はい。スリーボールから投げるときにフォアボールになってしまうかもしれないという不安がまだ残っている状態なんです。カーブは自信があるので決め球として十分に機能しますが、真っすぐのコントロールはさらに突き詰めていきたいです。僕はゾーン内でアバウトにこのあたりに投げよう、という意識で投げていて、思ったところにいけばファウルや空振りが取れるのですが、ノーチャンスなところにいくことも多くて……。
──そこは投げ込みを重ねることで克服していくのでしょうか?
泰 バッターが立っているときに力みが出てしまうので、試合レベルでどれだけタイミングをつかめるかが大事になっていくかなと思います。その点で今年は多くのマウンドに上がらせていただいているので、少しずつではありますがよくなってきているのかなとは感じています。
──開幕から抑えを任され、イースタン・リーグトップの26セーブ。プレッシャーのかかる場面での登板も重ねています。
泰 ファームで9回固定というのは他球団を見てもあまりないことだと思うのでそこはうれしいですね。永井(
永井怜)投手コーチがセーブシチュエーションで投げさせてくれているのは緊張感も含めて勉強になるようにということだと思います。観客数は全然違いますが、場面的には一軍で経験するような緊張感を持って投げることができているので、意気に感じています。
──勝っている状況での9回のマウンドはやはり緊張しますか?
泰 そうですね、吐きそうになるくらい緊張します(笑)。だいたい8回くらいから、点差によって登板があるかないかが分かってくるんです。その緊迫した雰囲気で僕の緊張感も上がっていき・・・
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