今季の高卒ルーキーでは最速で一軍デビューを果たした有望株。ファームでは持ち味の打撃で何度もファンを魅了させたが、一軍ではプロ野球の厳しさに直面。現実を見せつけられた。掲げる目標は大きく、並大抵の努力では到達は不可能だ。それでも、実現への期待を抱かせる雰囲気がにじみ出ている。 取材・構成=小林篤 写真=井田新輔 
ヤクルト・田中陽翔[内野手/1年目/19歳]
健大高崎高3年春には同校初となるセンバツ優勝に貢献。高校通算21本塁打の遊撃手は入団1年目からバットで結果を残してきた。若々しい19歳は、どのようなルーキーイヤーを過ごしてきたのか。 ──プロ1年目のシーズンを振り返っての率直な感想を教えてください。
田中 打撃面では思ったよりも苦しむことなくやれたかなと思います。課題はたくさんありますが、打率もOPS(出塁率+長打率)もそれなりに残せました。このまま伸ばしていければいいかなと思います。ただ、守備面はまだまだ。しっかり、みっちりやっていきたいです。
──打撃面で最も重視しているのは何になりますか。
田中 ミートですかね。もっと長打、本塁打も増やしたいんですけど、増やすためには、まずミート力がないと確率も上がらないので。OPSを一番気にしていて、今年は.800くらいあればと思っていましたが、.698。確率を下げずに長打を増やしていきたいです。
──59安打のうち長打が39個。二塁打は14とコンスタントに積み上げました。
田中 20後半はいきたかったです。打球も失速してポトンと落ちての二塁打も多かったですし、本塁打も5〜6本は打てるかなと思ってましたが2本。入団したときよりはバットも振れるようになって、打球も飛ぶようになりましたが、まだまだパワーが足りないと感じました。角度をつけることはうまいと思うので、スイングスピードなどを上げていけば長打がもっと増えていくと思います。
──打撃における一番のセールスポイントは何になりますか。
田中 広角に打てること、それとミート力には自信があります。
──逆方向への長打も目立ちます。広角に打つコツを教えてください。
田中 コツといっても、来た球をただ打ち返しているだけなんです。コースによって内角なら引っ張って、外角なら逆方向に打つという感覚です。シンプルにやっています。頭で考えすぎると、体が動かないというか……。
──中にはバットをライン(ボールの軌道)に入れるというような声も聞きます。どういう感覚で打っているのですか。
田中 いや、自分はそういう感覚があまりなくて。ボワ〜っと球を見て、シュッて来た球をシュッて打つだけなので。バットの出し方の意識はありますが、球のラインに入れたいとかはあまりないです。
──では、バットの出し方の意識を教えてください。
田中 出し方はバットが・・・
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