週刊ベースボールONLINE

Webオリジナルコラム

優勝争いの様相を変える交流戦

 

文=永山智浩 写真=BBM

07年の日本ハムは、4月下旬の時点で最下位も交流戦で12連勝を達成。その後のリーグ優勝につなげた



優勝争いの様相を変える交流戦


 今年で11年目を迎えた交流戦も大詰めを迎えた。今季は各カード3連戦で、1チーム18試合という、いままでで一番少ない試合数となった。交流戦が始まった05年と06年は各カード6試合の1チーム36試合、07年から昨年までは各カード4試合の1チーム24試合だった。過去には、ペナントレースが交流戦に大きく左右されるチームもあった。

 今年もセ・リーグでは、首位をキープして交流戦を迎えたDeNAが失速。阪神楽天戦でいきなり3連勝し好調で、リーグでも3位に浮上している。一方、パ・リーグは首位だった日本ハムが途中5連勝、それを上回る成績を残しているのがソフトバンクと、交流戦前の上位2チームが加速をつけている。

 過去10年、パ・リーグが9年勝ち越していて、苦戦を強いられているセ・リーグだが、交流戦の「落とし穴」に入ってしまったチームも多い。

 記憶に新しいところでは、昨年の広島だ。交流戦前まで2位・巨人に3ゲーム差をつけた首位だった。しかし交流戦に入るといきなり4連敗。後半にも泥沼の9連敗を喫し、9勝15敗で交流戦最下位(同率が他に2チームあったが、前年順位のため)。リーグ戦再開時には2位に転落し、首位・巨人に2.5ゲーム差をつけられていた。また首位争いをしていた阪神も9勝15敗で11位。一方の巨人は16勝8敗で交流戦2度目の優勝。昨年のセ・リーグ対戦のみの上位3チーム勝敗は、

 巨人 66勝53敗1分 勝率.555
 阪神 66勝53敗1分 勝率.555
 広島 65勝53敗2分 勝率.551

 と巨人と阪神は並び、広島も僅差だった。まさに昨年のセ・リーグは交流戦で明暗を分けたことになる。

 その巨人も36試合制だった06年に落とし穴に陥ったことがある。この年の巨人は4月に8連勝(1分け挟む)をするなどスタートダッシュに成功。交流戦直前では21勝9敗2分けで貯金12。2位の中日には3ゲーム差をつけていた。しかし交流戦に入ると8連敗をするなど完全に失速。13勝23敗、借金10で11位。巨人はリーグ戦後もまったく調子を取り戻せず、65勝79敗2分けで4位。交流戦以降、借金は26だった。

 交流戦を機に飛躍したのは07年の日本ハムと12年の巨人。

 前年、44年ぶりに日本一になった日本ハムは開幕から低迷。4月下旬には、6連敗を喫し最下位に転落。交流戦直前の首位・ソフトバンク3連戦の初戦に敗れ、すでに8ゲーム差をつけられていた。しかし続く2戦を連勝し交流戦に突入し快進撃が始まった。巨人、ヤクルト、中日、横浜(雨で1試合中止)、阪神、広島と前半の6カードを全勝の11勝。後半のヤクルト戦にも勝ち交流戦新記録となる12連勝をマーク(リーグ戦から14連勝)。18勝5敗1分けで交流戦初優勝を果たした。その後もチーム力は衰えることなく、リーグ連覇を達成した。

 12年の巨人も交流戦前までは、首位・中日に4ゲーム差をつけられた4位。しかし交流戦でいきなり7連勝し、17勝7敗でセ・リーグのチームとしては初めての優勝。交流戦後の中日戦にも3連勝し首位を奪い、その後は独走し優勝した。指名打者の有無や、日頃対戦していない投手との対戦など、ちょっとしたことでチームのリズムを変えてしまうのが交流戦の面白さだろう。
Webオリジナル

Webオリジナル

プロ・アマ問わず本誌未掲載の選手や球団、事象を掘り下げる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング