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本塁打率から見るプロ野球。「10.00」の壁を越えられるか?

 

文=永山智浩 写真=BBM

今もなお本塁打率ランキングTOP10を独占する王貞治



広い球場でホームランを放つパ・リーグの強打者


 交流戦を終えた時点でセ・リーグの本塁打王はヤクルト畠山和洋で18本。2位のDeNA・ロペスには6本差をつけている。

 一方、パ・リーグのトップは日本ハム中田翔で両リーグ唯一の20本塁打。2位には1本差で西武中村剛也。3、4位はソフトバンク勢で松田宣浩17本、李大浩16本と15本塁打以上は4人とし烈なタイトル争いを展開している。

 交流戦では畠山が4試合連続を含む9本と本塁打を量産。68打数で9本なので、本塁打率(打数÷本塁打=何打数に1本の割合で本塁打を打ったか)は7.56。交流戦前までは19.11だったので驚異的な数字と言える。交流戦終了までの本塁打率(規定打席以上)のベスト10を出して見ると、

・1位 中田翔(日)11.80 20本
・2位 中村剛也(西)12.68 19本
・3位 畠山和洋(ヤ)13.33 18本
・4位 李大浩(ソ)13.81 16本
・5位 松田宣浩(ソ)13.94 17本
・6位 カラバイヨ(オ)17.18 11本
・7位 クルーズ(ロ)17.85 13本
・8位 柳田悠岐(ソ)18.23 13本
・9位 森友哉(西)18.92 12本
・10位 ロペス(デ)18.92 12本

 とちょうど本塁打率20.00以下が10人となった。

 パ・リーグが8人でセ・リーグが2人。両リーグのフランチャイズ球場の大きさの平均値を出すと、パ・リーグの球場がセ・リーグよりも両翼、中堅、左中間ともに2mほど広い。本塁打は出にくいはずだが、パ・リーグの打者の方がより本塁打を量産している。いかにパ・リーグにパワーヒッターが多いかが分かる。

 過去のシーズンの本塁打率(規定打席以上)のベスト10を見てみよう。

・1位 バレンティン(ヤ) 7.32 60本(2013年)
・2位 王貞治(巨) 7.86 49本(1974年)
・3位 カブレラ(西) 8.13 55本(2002年)
・4位 王貞治(巨) 8.16 49本(1976年)
・5位 王貞治(巨) 8.25 48本(1966年)
・6位 落合博満(ロ) 8.34 50本(1986年)
・7位 王貞治(巨) 8.39 51本(1973年)
・8位 マニエル(ヤ) 8.52 42本(1977年)
・9位 王貞治(巨) 8.58 55本(1964年)
・10位 王貞治(巨) 8.64 50本(1977年)

 10位までで、世界のホームラン王・王が6回ランクインしている。2年連続三冠王を獲得した74年に49本塁打を放ち、本塁打率7.86と初めて8.00を下回った。この記録はなかなか破れなかったが、13年にプロ野球史上初めて60本塁打を放ったバレンティンが7.32をマークした。8.00を下回ったのはこの2人だけ。10.00を下回ったのも延べ31人しかいない。

 また、規定打席には達していないが、88年のブライアントはシーズン途中に近鉄に移籍し、74試合で34本塁打を放ち、本塁打率7.85と74年の王を上回る数値を叩き出している。

 現役の日本人選手でのトップは09年の西武・中村剛也で10.44(48本)。日本人選手で最後に10.00を下回ったのは86年の落合で8.34。球場も広くなり、日本人選手はなかなか10.00の壁を超えられない。 
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