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数字から見える12球団No.1ストッパー

 

文=永山智浩 写真=BBM

首位を走るソフトバンクのストッパーとして今年も安定感のある投球を見せているサファテ



12球団No.1の安定感を誇るストッパーは?


 楽天の2年目、松井裕樹は開幕からストッパーとして登板しているが、29試合で1勝18セーブ、5ホールド(記録はすべて6月21日現在)。一度も失敗はなく失点は本塁打2本による2点。防御率0.51と安定感抜群のピッチングを見せている。

 35イニングを投げて奪三振は52。奪三振率13.37で昨年の9.78を大きく上回っている。スタミナを考えない短いイニングなので、より能力が活かされている形だ。

 また一番成長したのは制球力。昨年は1イニング平均0.65個の四死球を出していたが、今年は0.43となり制球難が解消されつつある。1イニングあたりの安打+四死球の走者は0.94人と1を下回っている(昨年は1.43人)。ここで今年の12球団のストッパー(最多セーブ投手)の数字を比較して見よう。 数字は1イニング平均。

高橋朋己(西)
今季成績:29試合19S、防御率0.93、奪三振率6.83、安打0.55、四死球0.34、計0.90

増井浩俊(日)
今季成績:25試合18S、防御率0.68、奪三振率10.13、安打0.71、四死球0.19、計0.90

松井裕樹(楽)
今季成績:29試合18S、防御率0.51、奪三振率13.37、安打0.51、四死球0.43、計0.94

西野勇士(ロ)
今季成績:28試合16S、防御率2.33、奪三振率11.33、安打0.93、四死球0.30、計1.22

サファテ(ソ)
今季成績:31試合15S、防御率1.14、奪三振率14.78、安打0.41、四死球0.28、計0.69

平野佳寿(オ)
今季成績:16試合7S、防御率4.11、奪三振率11.15、安打0.98、四死球0.26、計1.24

呉昇桓(神)
今季成績:29試合20S、防御率1.91、奪三振率11.45、安打0.88、四死球0.27、計1.15

山崎康晃(デ)
今季成績:32試合19S、防御率2.05、奪三振率12.03、安打0.62、四死球0.23、計0.85

澤村拓一(巨)
今季成績:30試合18S、防御率1.87、奪三振率7.22、安打0.92、四死球0.36、計1.28

福谷浩司(中)
今季成績:29試合16S、防御率3.21、奪三振率5.79、安打0.89、四死球0.46、計1.36

バーネット(ヤ)
今季成績:26試合15S、防御率0.31、奪三振率6.52、安打0.48、四死球0.45、計0.93

中崎翔太(広)
今季成績:29試合7S、防御率4.11、奪三振率9.39、安打0.91、四死球0.36、計1.27

 1イニングで出す走者が平均1を下回っているのは半分の6人。松井裕は十二分にストッパーとしての役割を果たしていると言える。この中で驚異の数字を叩きだしているのがソフトバンクのサファテだ。

 防御率こそ1点台の1.14だが、1イニングの被安打は0.41、与四死球0.28で合計は0.69人。また奪三振率は松井裕を上回る14.78。四死球が少なく、三振が獲れる、まさにストッパーの条件をすべて持ち合わせている。

 昨年は被安打0.73、与四死球0.34で合計1.07人だったので、今年はより安定感があると言える。この数字がどれだけ素晴らしいか、過去20年間で20セーブ以上を挙げた投手のベスト5を見てみよう。数字は1イニング平均。

大塚晶文(近)
今季成績:41試合22S、防御率1.28、奪三振率11.48、安打0.52、四死球0.07、計0.59、年度02年

豊田清(西)
今季成績:57試合38S、防御率0.78、奪三振率10.36、安打0.56、四死球0.07、計0.63、年度02年

佐々木主浩(横)
今季成績:49試合38S、防御率0.90、奪三振率14.85、安打0.42、四死球0.30、計0.72、年度97年

小林雅英(ロ)
今季成績:43試合37S、防御率0.83、奪三振率8.52、安打0.60、四死球0.14、計0.74、年度02年

藤川球児(神)
今季成績:63試合38S、防御率0.67、奪三振率11.97、安打0.50、四死球0.24、計0.74、年度08年

 1位の02年の近鉄の大塚晶文は1イニングに0.59人の走者しか出さなかった。打者153人に対して四球はたったの3。同じ年の西武の豊田清も1イニングの走者は0.63人。こちらも打者204人に対して四球3、死球1と抜群の制球力を誇り、ともに奪三振率も10以上と三振も奪える安定感のあるストッパーだった。シーズン途中ではあるが、サファテの0.69人という数字は3番目に当たる。

 勝敗の行方を左右するストッパーの存在。不用意な四球などをきっかけに勝利を消す場合もある。混沌とするペナントレースだが、ストッパーの出来、安定感がチームの浮沈を握っているとも言える。
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