週刊ベースボールONLINE

Webオリジナルコラム

数字から見るプロ野球 リリーフ専門投手を考える

 

文=永山智浩 写真=BBM

今季も貴重なリリーフとしてチームの勝利に貢献している五十嵐亮太



 1974年にセーブが制定されると、各チームストッパーが確立し、96年に最優秀中継ぎがタイトル(96〜04年はセ・リーグがリリーフポイント、パ・リーグは最多ホールド)の制定とともに、リリーフ陣にも明確な役割ができ、投手の完全分業制が確立した。これによって、リリーフでの起用を前提として入団する選手も多くなり、先発未経験の現役投手も多くなった。

 ソフトバンクの五十嵐亮太は、敬愛学園高からドラフト2位で98年にヤクルトに入団。2年目の99年4月20日の中日戦(神宮)、延長12回、三番手としてプロ初登板(敗戦投手)を果たした。

 その年はリリーフとして36試合に登板し、6勝4敗1セーブと活躍。翌年も快速球をもっとも生かせるリリーフ専門で11勝。2004年にはストッパーとして37セーブを挙げた。09年までヤクルトに在籍するが、通算507試合に登板しすべてリリーフだった。

 翌10年メジャーに移籍、メッツ、ブルージェイズ、ヤンキースで3年間で83試合もちろんこれもすべてリリーフ。13年にはソフトバンクに復帰。主にセットアッパーとして投げ、昨年の8月8日の西武戦(県営大宮)に登板し、初登板から601試合連続リリーフ登板の日本記録を樹立した。もちろん今季もこの記録は続いており、647試合(記録はすべて7月5日現在)まで伸ばしている。

 先発なしでの登板数ベスト10は以下の通り。

五十嵐亮太(ソ)※647/99〜09、13〜15年
藤田宗一(ソ)600/98〜07年
武田久(日)※522/03〜14年
篠原貴行(De)496/98〜03、05〜08、10〜12年
木塚敦志(横)490/00〜10年
宮西尚生(日)※444 08〜15年
清川栄治(広)438/84〜98年
弓長起浩(神)400/92〜02年
ウィリアムス(神)371 03〜09年
高橋聡文(中)390 04〜15年
(※は現役、所属は最終、年は実働年度)

 五十嵐は日米合わせると730試合すべてリリーフ登板だ。そんな五十嵐も1年目のイースタン・リーグでは先発も経験している。初登板は98年4月29日の横浜戦。この時は三番手の登板だったが、2試合目の登板となった5月6日のロッテ戦に先発し3回無失点。9月26日のロッテ戦では6回降雨コールドながら完全試合(参考記録)を達成。これが唯一の完投、完封。

 この年は10試合に投げ8試合に先発。またファーム日本選手権にも出場(阪神戦)。先発し5回を1安打無失点に抑え見事にMVPに輝いた。高卒の本格派投手だっただけに、先発として育てる方針だったのだろうが、その快速球は「リリーフの申し子」として大成功した。

 五十嵐は647試合連続リリーフ登板だが、連続だけでいえば、中日の岩瀬仁紀は766試合連続リリーフ登板中。2年目の00年の自身の最終登板(広島戦)に先発し7回1失点で勝利投手となったが、これが唯一の先発。残りの888試合はすべてリリーフ登板だ。

 ちなみにリリーフなし先発オンリーでの最多登板はミンチー(ロッテ)で187試合。100試合以上は4人ですべて外国人。日本人の最高は野村祐輔(広島)で79試合だ(全体の6位)。
Webオリジナル

Webオリジナル

プロ・アマ問わず本誌未掲載の選手や球団、事象を掘り下げる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング