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中居正広のとことん野球好き!!

第10回 高橋由伸という男

 

多くの思いを胸に抱えながら1年を戦い抜いた由伸監督。来シーズンもそのブレない姿勢で頑張っていってほしいです


 2月の春季キャンプが始まるまでのこの時期というのは、プロ野球ファンにとっては開幕が待ち遠しくてたまりませんよね。もちろん「ストーブリーグ」ならではの楽しみはありますが、それでもやっぱり試合がない日々はつまらない方も多いのではないでしょうか。

 でも、その一方で僕はこういう時期も実は大切なんじゃないかって思うんです。例えば……喉が渇いたときにこそ水がすごく美味しいと思えるように、ワクワク、ソワソワしながら待ち望む気持ちが、いざ開幕したときの楽しさを倍増させてくれているんじゃないかって!ということで、今まさに開幕を首を長〜くして待っているわけですが、2017年シーズンを占う意味でもオフの移籍話は気になるところ。今オフに大型補強を敢行したのが巨人ですよね。トレードで日本ハムから吉川光夫を獲得し、FAでは山口俊(DeNA)、森福允彦(ソフトバンク)に続いて、陽岱鋼(日本ハム)の移籍が決定しました。さらに元楽天マギーに、最速164キロ右腕のカミネロが加入することに。ポジション争いが激化することは間違いありませんよね。

今オフに巨人に加わった陽選手は足も使える選手なので活躍がすごく楽しみですね!


 16年の巨人は2位に終わり、CSではファーストステージでDeNAに敗れてしまいました。指揮官1年目の由伸(高橋由伸)監督にとっては厳しいシーズンだったと思います。実は先日、長嶋(長嶋茂雄)さんと王(王貞治)さん、そして由伸監督の3人と野球談議をする機会をいただきました。いやぁ、めちゃくちゃ緊張しました(笑)。だって僕、すごい場面に出くわしたとき、いつも「まるでONがそろったみたいじゃん!」って言ってたんです。つまり、2人がそろうというのは、僕にとっては「最上級」なわけです。その2人がいる場に自分がいるなんて……本当に夢のような時間でした。

 そのときに長嶋さんが由伸監督に、同じように「現役を引退して1年目に監督に就任した自分は最下位だったんだから、2位なんていいほうだよ」と言われていたんです。その後に「ただ2年目は優勝したけどね」と、しっかりとプレッシャーをかけることも忘れていなかったですけど。さすがミスターですよね(笑)。

 僕自身、故障者が多くいた中で由伸監督はよくやっているよなあと思いながら見ていました。ただ気になっていたのが、あまりにも淡白すぎる試合後のコメントでした。ファンにしてみたら、もうちょっと言葉が欲しいなあというのが正直な気持ちだったんです。

 でも、そこには由伸監督なりの考えがあったことが分かりました。もし、監督が「あのミスが大きかったですね」などというコメントをした場合、選手はそれを記者あるいは新聞の文面を通して間接的に知ることになってしまう。それは選手にとっては気持ちがいいものではないから、ああいう場では個々の選手のことは言わないと決めていたんだそうです。それを聞いて「なるほどなあ……」と思いましたし、あらためて由伸監督の人間性を感じました。

 さてさて、約1カ月後には各地で春季キャンプが始まり、ペナントの開幕まであっという間です。17年も僕なりの“ドシロウト目線”でプロ野球の面白さをこのコラムで伝えていきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いします!!

PROFILE
なかい・まさひろ●1972年8月18日生まれ、神奈川県出身。歌手や俳優業だけでなく、司会者としての才能も発揮。「NHK紅白歌合戦」をはじめ、多くのテレビ番組で司会を務めている。プライベートでは大の野球好きでもあり、2013年のワールド・ベースボール・クラシックでは「WBC侍ジャパン公認サポーター」も務めた。
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