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中居正広コラム第51回 変化球にも勝る“魔球”

 

今シーズン限りでの引退を表明している藤川球児。最後にもう一度、真っ向勝負のストレートを僕は見たい!


 プロ野球もいよいよ佳境に入ってきましたね。セ・リーグは巨人にマジックが点灯し、リーグ連覇が濃厚となってきました。一方のパ・リーグはソフトバンクロッテの首位争いが激しさを増しています。ただ、ゲーム差はセ・リーグほど開いてないので、楽天西武日本ハムまでは可能性があると思うので、この先も目が離せません。

 さてさて、今回のテーマは変化球にしようと思います。『週刊ベースボール9月21日号』で変化球特集が組まれていましたが、その中の企画「読者が選ぶ歴代最高の変化球ランキング」の順位を見ながら、僕も「自分にとって史上最高の変化球って、誰の何のボールだろう!?」ってホンキで考えちゃいました。

 野球関係者の方からよく聞くのは「なんだんかんだ言って一番厄介なのはカーブ」ということ。特に上から下へドロンと落ちる緩いカーブは、打てそうで打てないんだそうです。現役でいえば、森下暢仁(広島)や武田翔太(ソフトバンク)が得意としていますが、この1種類を持っているだけでかなり有利に戦えるボールなんですよね。実際に試合を見ていても、初球のカーブって7〜8割ぐらいは見送っている印象があります。もちろん、速い真っすぐがあるからこそ生きているんでしょうけど、カーブって実はすごいボールなんだなあってあらためて思います。

 僕も小学生のときは変化球を投げることにすごく憧あこがれていました。少年野球のチームではピッチャーではなかったので投げていませんでしたが、父親や友達と遊ぶ際には絶対に打たれたくないもんだから、よく見よう見まねで変化球を投げていたんです。でも、それでヒジをやっちゃったんですよね……。父親からはいつも「変化球は投げちゃダメだぞ」って言われていたんですけど、小学生の僕は友達に「オマエの変化球は打てない」「すごい曲がるじゃん!!」って言われたり、父親を打ち取るのがうれしくなっちゃって。そんなちょっと懐かしくも、ほろ苦い思い出でもあり、あのときに父親の言うことをちゃんと守っていたらな……なんて思ったりもします。

 ほかにも変化球と言えば、よくマンガとかで“魔球”って言うじゃないですか。ボールが何個にも分身したり、消えたりね(笑)。その魔球ということでいうと、ちょっと変化球からは外れてしまいますが、僕にとっての一番の魔球は全盛期の藤川球児(阪神)の真っすぐなんですよね。一般的にバッテリーは長打を打たれないように低めを狙うのがセオリーですが、藤川は高めの真っすぐで空振りを奪える。打者の手元でグワーンとホップするあの剛速球を初めて見たときの衝撃はいまだに忘れることができないですし、何度見ても「藤川すっげ〜な‼」といつも興奮して叫んじゃいます(笑)。


 そんな藤川は今シーズン限りで現役を引退してしまいますけど、多くのプロ野球ファンの記憶に彼の“火の玉ストレート”の衝撃は残り続けるはずですし、変化球にも勝る“魔球”だと僕は思います。残りわずかになった現役生活、背番号「22」の最後の勇姿をしっかりと目に焼き付けたいと思っています。
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