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中居正広のとことん野球好き!!

中居正広コラム第57回 開幕戦とチャンネル争いの思い出

 

2021年のペナントが開幕。やっぱりお客さんが入ったスタンドからの眺めはいいですね


 プロ野球もメジャー・リーグも開幕からすでにドラマチックなシーンがたくさん生まれ、野球が帰って来たなって感じですよね。僕もペナントの開幕日(3月26日)なんかは朝からずっとソワソワしていて……仕事が終わったら一目散に帰宅して、試合開始時間までに大急ぎで晩ご飯の準備をしなくちゃって感じでした(笑)。昨年の今ごろはいつ開幕できるかも分からない中だったので、まずはこうしてスタートできたことは本当にうれしいです。

 それにしても開幕戦って何でこんなにもドキドキするんでしょう。長いシーズンの1試合に過ぎないんですけど、何十年経ってもこの気持ちは子どものころのまま。どれだけ友達と遊んでいても、プロ野球が始まる日(まあ、開幕戦以外の試合も同じですが)はいつもより早くに家に帰っていました。どんなことよりも胸が躍って、夢中になれるのがプロ野球だったんですよね。

 当時はテレビ中継が19時からだったので、18時からの1時間はラジオで中継を聴いていました。それで19時になったらテレビで見て、もし延長戦に突入したらまたラジオに戻って……。さらに翌朝は各局のスポーツニュースをくまなくチェックしてから学校に行く。そんな毎日をずっと送っていました。48歳になった今も、その生活はほとんど変わってないですが(笑)。

 ただ、当時と違うのは今は試合開始からゆっくり野球中継を見られるようになったこと。というのは、僕は3人兄弟の末っ子だったので家に1台しかなかったテレビの“チャンネル権”がなかったんです。上のお兄ちゃんたちはプロ野球よりもアイドル番組が好きだったので、僕はガマンするしかなかった。そうなると頼みの綱は野球が大好きだったお父さんだけ。お父さんが家にいれば堂々と野球中継を見られたので「今日も飲まずに早く帰って来てよ!!」っていつも願っていました。

 今までで一番記憶に残っている開幕戦はもう大人になっていましたが、1997年4月4日の巨人ヤクルト戦(東京ドーム)が僕的には忘れられません。広島から戦力外通告を受けてヤクルトに加入した小早川毅彦さんの開幕戦での3連発は衝撃的でした。しかもエースの斎藤雅樹さんからでしたからね。「こんなマンガみたいなことが現実でも起こるんだ」って思いました。同時にまだ1試合負けただけなのに「今シーズンのジャイアンツは大丈夫なの?」って急に心配になっちゃって。やっぱり開幕戦って特別なものなんですよね、見ている側にとっても。

強烈なインパクトを残した小早川毅彦さんの開幕戦での3連発。プロ野球の面白さをあらためて感じさせられたシーンでした


 まだまだ新型コロナ禍の中で球場に入れるお客さんの数も制限され、ルール面では新たに延長戦はなく9回で打ち切りになりました。ただ、これはこれで僕はすっごく面白いことになるかもしれないなとも思っています。もうすでに引き分けの数が増えてきていますが、これが最終的なペナントの順位争いにも大きく響いてきそうだなと。それこそ94年の伝説の「10.8」のような同率首位同士の優勝決定試合なんてこともあるかもしれない……そんなことも密かに期待しています。何はともあれ、今シーズンしか見られない戦いを大いに楽しみましょう。ああ、僕も早く球場に行きた〜い。

PROFILE
なかい・まさひろ●1972年8月18日生まれ、神奈川県出身。俳優業だけでなく、司会者としての才能も発揮。「NHK紅白歌合戦」をはじめ、多くのテレビ番組で司会を務めている。プライベートでは大の野球好きでもあり、2013年には「WBC侍ジャパン公認サポーター」、第4回WBCでも「公認サポートキャプテン」に続いて「世界野球プレミア12 侍ジャパン公認サポートキャプテン」も務めるなど、豊富な知識とあふれる野球愛でその活躍の場を広げている。
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