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中居正広コラム第61回 オリンピックの裏話と気になる男

 

アメリカ戦でのバントもしびれましたが、ムードメーカーとして献身的にチームを支えた栗原[写真= WBSC]


 侍ジャパンが見事にやってくれましたね。野球がオリンピックの正式競技になって初めてとなる悲願の金メダル! しかも1次リーグから決勝まで5戦全勝で頂点に立ちました。とはいえ、一戦一戦を振り返ると緊迫したゲームが多く、心震えた場面が本当にたくさんありましたよね。

 その中でどれか一つを挙げろと言われたら、僕はノックアウトステージ初戦のアメリカ戦です。タイブレークとなった延長10回裏、甲斐拓也のサヨナラ打で劇的勝利となった試合ですが、その甲斐の前に代打に送られた栗原陵矢の送りバント。あれはしびれたな〜。だって、それまで一度も打席に立っていなくて、あの場面がオリンピック初打席だったわけじゃないですか。それで絶対に失敗が許されない場面で対戦したこともないピッチャーのボールをしっかりと仕留めてしまうんですから。しかも1球目ですよ! もうあの試合の陰のMVPと言ってもいい大きな仕事でした。

 結局、栗原が出場したのって、あの一度きりなんですよね。だから大会成績は0打数0安打。でもだからこそ、たった一度きりの出番、しかも数字にはあまり表れない大きな仕事をきっちりとやってのけた栗原ってカッコいいなって。僕の脳裏に焼き付いて離れないシーンとなっています。

 あとは大会後に聞いた裏話でビックリしたのは、長嶋茂雄さんが稲葉篤紀監督に直接電話でエールを送っていたということ。それも一度ではなく、大会期間中、何度か長嶋さんから直々に電話をかけて労いの言葉をかけていたそうです。長嶋さんは今回の金メダル獲得最大の功労者は稲葉監督だとおっしゃっていました。長嶋さん自身はアテネの本番では指揮を執ることはできませんでしたが、それでも当人同士にしか分からない「日本代表監督」として日の丸を背負うとてつもない重圧や責任感を、稲葉監督からひしひしと感じていたのだと思います。だからこそ、いてもたってもいられずに電話をされたんでしょうね。

表彰式で菊池涼介から金メダルをかけてもらった稲葉監督。とてつもない重圧の中で戦い抜いた指揮官に拍手を送りたいです[写真= WBSC]


 さて、オリンピックの熱気がまだ冷めやらぬ中、8月13日からはプロ野球のペナントレースが再びスタートしました。もちろんセ・パの優勝争いの行方も楽しみですが、実は前半戦からずっと気になっている選手がいるんです。日本ハム清宮幸太郎

 プロ4年目の今シーズンはまだ一度も一軍に昇格していないばかりか、ファームでも打率は2割を行ったり来たりの状態と伸び悩んでいます。僕はド素人なので詳しくは分かりませんが、二軍の試合を見ていて気がかりなのは、マルチ安打が少ないこと。打っても1安打、1本塁打で終わってしまい、そのあとが続かないという状況が続いています。あとはヤクルト村上宗隆をはじめ、同期の選手たちが一軍で活躍する姿を見て、焦りみたいなものもどこかにあるでしょうし、性格が優し過ぎる点も影響しているのかなあ……。

 ポジションも一塁手ですから打率.250、20本塁打ではどうしても物足りない。持っているポテンシャルからすれば、「打率.300、40本塁打」を目指してほしいですし、それぐらい打てる選手ですから。何とかシーズンの後半戦で覚醒への糸口を見つけてほしいですね!

PROFILE
なかい・まさひろ●1972年8月18日生まれ、神奈川県出身。俳優業だけでなく、司会者としての才能も発揮。「NHK紅白歌合戦」をはじめ、多くのテレビ番組で司会を務めている。プライベートでは大の野球好きでもあり、2013年には「WBC侍ジャパン公認サポーター」、第4回WBCでも「公認サポートキャプテン」に続いて「世界野球プレミア12 侍ジャパン公認サポートキャプテン」も務めるなど、豊富な知識とあふれる野球愛でその活躍の場を広げている。
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