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中居正広コラム第63回 高津ヤクルトが強い理由

 

6年ぶりの優勝に向け、ギアを上げた高津臣吾監督率いるヤクルト


 いよいよ、セ・パともにリーグ優勝争いの決着のときを迎えようとしていますね。

 セ・リーグはこのままの順位でいけば、ヤクルトが2015年以来となる6年ぶりの優勝になります。いま思えば、ヤクルトは開幕3連敗から始まっているんですよね。よく「開幕ダッシュが大事」ということを聞きますが、最近は「本当かなあ?」って(笑)。結局、毎年振り返ってみるとやっぱりシーズンを通していかに白星を積み上げていくか。今季のヤクルトを見ていても、あらためてそう思いました。

 最下位に終わった昨季のヤクルトと比べると、まず違うのはチーム防御率。昨年は4.61とダントツでリーグワーストだったのが、今シーズンは3点台前半と中日に次ぐ数字を残しているんですよね。たった1年で1点以上も下がるなんて……ちょっと考えられないくらいすごいことだなって。この安定した投手陣がヤクルトの強さの一つで、ピッチャー出身の高津臣吾監督の采配が一番表れているところだとは思うんですけど、1点以上も良化するって! 何が要因しているのかは僕みたいなドシロウトには全然分かりません(笑)。だからそのあたりを詳しくプロの解説者の方に今度聞いてみたいんですよね。

 あと、今季は延長がなく9回打ち切りなので、そういう部分でも試合終盤での監督のタクトがすごく大きなポイントになっていると思うんですけど、高津監督の投手起用はすごく明確だなって感じます。終盤でリードしているとき、同点あるいはビハインドを負っているときの後ろ3人がそれぞれしっかりと決まっています。例えば同点のときにも勝ちゲームと同じ投手を起用したくなるところをガマンし、何とか同点にもっていくというように選手起用にメリハリが感じられます。

 それともう一つ単純かもしれませんが、全員が全力疾走しているということも今季のヤクルトの象徴のような気がします。走るのなんて当たり前って思うかもしれませんが、意外とできていなかったりするんですよね。でもヤクルトは若手だけでなく、青木宣親選手のようなベテランも外国人選手も、足が速かろうが遅かろうが関係なく、みんな一塁まで全力で走っています。先日、村上宗隆選手が「うちのチームはダラダラ走っている選手はいません」というようなことを言っていましたが、本当にそうだなって。きっとチームの指導が明確で選手にもそれがちゃんと行き渡っているんでしょうね。

チームの雰囲気の良さ、ベテラン、若手、外国人選手の一体感も感じますよね


 投手陣のスクランブルのタイミングも高津監督の采配が見事にはまったなあと。それこそ巨人は早くて9月上旬から先発陣が中4日、中5日体勢に入りましたが、ヤクルトは9月末から。もちろんこれはどちらが功を奏すかは結果論。今季に関してはヤクルトのタイミングがプラスに働いたということですよね。

 とはいえ、短期決戦のクライマックスシリーズではまた何が起こるかは分かりません。他球団が巻き返す可能性は十分にあります。まだまだ、プロ野球から目が離せません!

PROFILE
なかい・まさひろ●1972年8月18日生まれ、神奈川県出身。俳優業だけでなく、司会者としての才能も発揮。「NHK紅白歌合戦」をはじめ、多くのテレビ番組で司会を務めている。プライベートでは大の野球好きでもあり、2013年には「WBC侍ジャパン公認サポーター」、第4回WBCでも「公認サポートキャプテン」に続いて「世界野球プレミア12 侍ジャパン公認サポートキャプテン」も務めるなど、豊富な知識とあふれる野球愛でその活躍の場を広げている。
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