早いもので春季キャンプも後半に入り、各チームで熾烈(しれつ)なレギュラー争いが繰り広げられていますね。どのポジションも気になりますが、やっぱり僕は小学生のときに少年野球で守っていたサードに注目しちゃいますね。

　2021年にサードのゴールデン・グラブ賞を獲得したのは、セは岡本和真選手(巨人)、パは宗佑磨選手(オリックス)で、いずれも初選出でした。岡本選手はずっと欲しがっていたので、ようやくタイトルを獲れてうれしかったと思います。実際すごく守備のうまい選手ですし、ここ1〜2年は特にスローイングが安定しているなと。しかもサードで本塁打王とのダブル受賞は1979年、1982年の阪神・掛布雅之さん以来(当時はダイヤモンドグラブ賞)という快挙。守りの負担が大きいポジションをこなしながら、ホームランも量産しちゃうんですから、本当にすごいことです。

　一方の宗選手は、肩の強さがマジでヤバい!!　バネがあるし、身体能力の高さがハンパないなって感じます。岡本選手とはまた違うタイプのサードというか、宗選手は言ってみれば魅せるタイプ。だから彼のところに打球が飛ぶといつもワクワクします。それこそ僕の中では歴代のサードで3本の指に入るほど好きな選手ですね。

　少年野球をやっていたころにあこがれたのは掛布さん。軽快なフィールディングをはじめ、守備に就く際に走っていく姿、ヘルメットから帽子に変えるときのちょっとした仕草とか、とにかくめちゃくちゃカッコよかったんですよ！　ただ小学生の僕が掛布さんのマネをすると、どうも不自然というか、いかにもカッコつけているみたいになっちゃうから、恥ずかしくてマネはできなかったんですけど(笑)。


　実際に僕がマネをしたのはテレビで一番観る機会が多かった巨人の中畑清さんや原辰徳さん。例えば、原さんのスローイングは手があまり体から離れずにコンパクトだったんです。僕は小柄だったので体をめいっぱい使ってボールを投げていたんですけど、そうするとどうしてもコントロールが定まらなかったんです。それで原さんの動きを観察して、スローイングの練習をよくやっていました。あとは、大島康徳さん、村田修一さんのサードも好きでしたね。

　ほかにも“オバQ”こと大洋の田代富雄さんとか。田代さんはかなり大柄な選手だったんですけど、機敏で守備もうまかった。当時はショートの山下大輔さんと鉄壁の三遊間コンビを組んでいて、すごく印象に残っているんですよね。

　サードは“ホットコーナー”と呼ばれるくらいですから、強烈で難しい打球が飛んでくるポジション。その中でも特に三塁線に鋭く飛んできた打球を逆シングルで捕球して、ギリギリでアウトにするシーンなんかはサードの一番の見せどころですし、僕の大好物です(笑)。何度見ても心が躍りますよね。うわっ、それをアウトにしちゃうの!?　やっぱりプロってすごいなって。

　さて、今シーズンのサードのゴールデン・グラブ賞は果たして誰の手に渡るのか。そんなところにも注目しながら、2022年のプロ野球を楽しみたいなと思っています！

PROFILE
なかい・まさひろ●1972年8月18日生まれ、神奈川県出身。俳優業だけでなく、司会者としての才能も発揮。「NHK紅白歌合戦」をはじめ、多くのテレビ番組で司会を務めている。プライベートでは大の野球好きでもあり、2013年には「WBC侍ジャパン公認サポーター」、第4回WBCでも「公認サポートキャプテン」に続いて「世界野球プレミア12 侍ジャパン公認サポートキャプテン」も務めるなど、豊富な知識とあふれる野球愛でその活躍の場を広げている。