
個々の選手の力を生かしながらチームを指揮する高津臣吾監督。巧みなタクトでチームをV2に導くか
長丁場のペナントレースはまさにここからが正念場。暑い夏場をどう乗り切るかが、リーグ優勝やクライマックスシリーズ進出争いに大きく関わってきます。また、ファンとしては自分のひいき球団の勝利はもちろんですが、やっぱり万全の戦力が整った状態での勝負を見たいところ。だからこそ現在、チーム内で新型コロナウイルスの陽性者が多く出てしまっている
ヤクルトはホントに心配。まずは全員の早期復帰を願うばかりですね。
それでもヤクルトのここまでの強さには驚くばかりです。ターニングポイントとなったのはやっぱり交流戦だったと思います。交流戦って普段は対戦しない、それこそ初めて対戦する投手や打者も多いわけですから、事前に研究していたとしてもリーグ内の戦い以上に打ったり抑えたりするのは相当難しいことだと思うんです。にもかかわらず、ヤクルトは8割近い勝率(.778)をマーク。セ・リーグの戦いに戻ってからも、その勢いは止まりません。
要因のひとつにあるのが、チームとしての勝ちパターンを複数持っていることが挙げられるのかなと。先月、野球解説者の
谷繁元信さんとヤクルト対
巨人戦のテレビで副音声を一緒にやらせていただいたときに、谷繁さんが「投手の勝利の方程式が、AパターンとBパターンがあるチームは強い」というようなお話をされていました。まさにそれが今シーズンのヤクルトですよね。リードしている試合では守護神の
マクガフを投入するというのが必勝パターン。一方、同点やビハインドの場面で試合終盤を迎えた場合に登板するリリーフ陣もしっかりと抑えるんですよね。その頑張りによって味方打線が勝ち越し、または逆転してくれた試合を何度見たことか。
その象徴的な存在が中継ぎで奮闘する
田口麗斗。7月6日に初めて自責点がつくまでの防御率は0.00。彼がもう1つの勝ちパターンになっているというのが、チームの強さにつながっている気がします。

守護神を務めるマクガフをはじめ、充実したブルペン陣もヤクルトの強みですよね
それと昨シーズンから神宮球場で本格運用が始まった動作解析システムの「ホークアイ」も投手陣の好投を支えているんじゃないかなと。細かく投球フォームを解析し、抑えたときと打たれたときとの違いを分析したデータが選手にも共有されていると聞いたことがあります。投手にとっては修正ポイントが明確になっていいですよね。東京ドームも導入したらいいんじゃないかなあ(笑)。
ブルペンだけでなく、エース格の
奥川恭伸が戦線離脱中でもほかの先発陣が頑張っていますし、野手でも
サンタナが離脱したあと、
山崎晃大朗がしっかりと穴を埋めています。それは紛れもなくチームの層が厚いということですし、現在の順位にいるのも納得という感じです。
チームを指揮する監督たちのベンチワーク、いかに選手を休ませながら(新型コロナウイルスとの闘いも含めて)勝ち星を積み重ねていけるか。そのあたりに注目しながら、いよいよ夏本番を迎えるセ・パの戦いを見守っていきたいと思っています。
PROFILE なかい・まさひろ●1972年8月18日生まれ、神奈川県出身。俳優業だけでなく、司会者としての才能も発揮。「NHK紅白歌合戦」をはじめ、多くのテレビ番組で司会を務めている。プライベートでは大の野球好きでもあり、2013年には「WBC侍ジャパン公認サポーター」、第4回WBCでも「公認サポートキャプテン」に続いて「世界野球プレミア12 侍ジャパン公認サポートキャプテン」も務めるなど、豊富な知識とあふれる野球愛でその活躍の場を広げている。