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中居正広コラム第73回 高校球児たちの夏に思うこと

 

104回目を迎えた夏の甲子園


 熱戦が繰り広げられている夏の高校野球。とにかく今年も無事に開幕して、本当に良かったなと思いながら、僕もファンの一人として連日楽しんで見ています。

 その中で注目選手を挙げるのは難しいですが、強いて言えば大阪桐蔭高の左腕・前田悠伍投手。大阪大会決勝では履正社高を8回無失点で優勝に導きましたが、まだ2年生だけにこの甲子園でもさらに伸びそうですよね。

 それにしても近年見ていてすごく思うのは、僕が小さいころとは本当にレベルが違うなということ。当時は最速140キロのピッチャーが出てきたら「すごい!」と思っていましたが、今では140キロ後半から150キロのボールを投げる高校生が次から次に登場する時代。それこそ仙台育英高の投手陣なんかはすごかったですよね。初戦で登板した5投手全員が140キロ超えをマークするんですから。そんな時代が来るとは想像もしていませんでした。

 それと野球道具も時代の変化を感じます。今では打者がヒジ当て、スネ当て、手袋をしているのはそう珍しいことではありませんが、僕が子どものころはまったくありませんでしたから。それこそスパイクも黒一色だったのが、解禁された白スパイクを履く選手、高校もだいぶ増えましたよね。また、ユニフォームもすごくオシャレなデザインの高校が増えているように感じます。

 一方で運営面でもさまざまな改革が行われています。例えば投手の球数制限は2020年春から「1週間500球以内」というルールが導入されました。これについても賛否両論あり、とても難しい問題だなと感じています。

 アメリカの高校野球は原則7イニング制で行われていると聞いたことがあります。体が出来上がっていない高校生のことを考えてのことだと思いますが、なるほど、確かにイニングを短縮すれば自ずと球数は減少しますし、暑さ対策で言えば試合時間の短縮にもなるのかなと思ってみたり……。でも、見応えという部分ではどうなんだろうなとか、「高校生は〇イニングまで」をどこでどう線引きをするかは、とても難しい問題ですよね。

高校球児たちのハツラツとした姿は、プロ野球とはまた違う魅力がありますよね


 暑さ対策においてはドーム球場の使用や、大会開催の時期をズラすことなども議論されていますよね。本当に何が正解かは僕には分かりませんが、まずは関係者の方たちには高校生の健康を第一に考えてほしいなと思います。その一方で悔いのない形で高校野球をやらせてあげたいなと。高校を卒業して野球を続ける選手よりも、圧倒的に終える選手のほうが多いわけですから。そう考えると、とにかく悔いなくプレーしてほしいという気持ちがあります。

 ただ改革も思い切ってやってしまえば、それがスタンダードになるかもしれないなとも思います。もしかしたら20年後には甲子園以外の球場でやってるかもしれませんし。伝統を重んじる、ブレないカッコよさもある半面、時代や状況に応じて変えていく勇気も大事なのかなと。そんなことも考えながら、今年も夏の高校野球を楽しんでいます。

PROFILE
なかい・まさひろ●1972年8月18日生まれ、神奈川県出身。俳優業だけでなく、司会者としての才能も発揮。「NHK紅白歌合戦」をはじめ、多くのテレビ番組で司会を務めている。プライベートでは大の野球好きでもあり、2013年には「WBC侍ジャパン公認サポーター」、第4回WBCでも「公認サポートキャプテン」に続いて「世界野球プレミア12 侍ジャパン公認サポートキャプテン」も務めるなど、豊富な知識とあふれる野球愛でその活躍の場を広げている。
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