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舞台裏の仕事人

甲子園球場ウグイス嬢・小森華奈さんの熱意 「第一に、間違えないこと」

 

姿は見えども、プロ野球の試合で必要不可欠な人たちは多い。試合進行にともない場内アナウンスを行っている女性もその中の1人。今回は聖地・阪神甲子園球場でアナウンスをしている、通称ウグイス嬢の小森華奈さんに登場してもらった。穏やかな声で選手たちを呼び込み、試合に華をそえる存在。その裏で常に緊張感を持って試合に臨む毎日を送っている。
取材・文=椎屋博幸、写真=BBM


高校野球の練習試合でアナウンスをしてから……


3歳くらいのとき、弟と写っている写真に、阪神タイガースのユニフォームと帽子をかぶっている小森さんがいる。父親が大の阪神ファンで、物心ついたときには小森さんも熱狂的な阪神ファン、野球ファンになっていた。そして、高校時代には野球部マネジャーとして試合アナウンスを経験することになる。

 高校野球ではマネジャーはあくまでサポート役。女子が直接試合にかかわれるとしたらアナウンスしかありません。実際に練習試合で数回経験させてもらえたんです。そこで試合に携わっているなあ、楽しいな、と感じ、大学は女子マネジャーのいる野球部で、自分が勉強したい学科がある大学を監督(担任)に見つけてもらい受験しました。その大学では連盟学生委員に入り放送委員として、20試合くらいですが、アナウンスを担当させてもらい、ますます興味を持ったんです。そうこうしていたら、大学時代に放送指導をしてくださっていた方が、甲子園球場のウグイス嬢に欠員が出て募集があると知らせていただき、迷いなく受けました。

 そう簡単にいくとは思いませんでしたが、運よく面接試験を受けさせてもらい、しかも合格しました。多分、やる気を評価してもらったのだと思います。その後は、長い研修が待っていました。人それぞれですが、タイガースの一軍の試合でウグイス嬢を任されるまでに数年を要します。発声練習などの基本をたたき込まれ、テレフォンサービスの録音、場外への呼び出し放送などを経て、一般の方が甲子園を使用する「貸しグラウンド」で初めて試合のアナウンスができます。その後、二軍の試合で経験を積み、ようやく高校野球のウグイス嬢としてデビューします。一軍はまだその先です。

 私は2009年に入社し、2011年10月2日の中日戦で一軍デビューをさせてもらいました。その試合は久保(康友=現DeNA)さんが先発で、試合には負けてしまいました。ただすごく緊張していたので、試合の詳細までは覚えていないんです。前日の夜、緊張で寝つけなかったことは覚えていますが……(笑)。

 私どもがアナウンスで気をつけていること・・・

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