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舞台裏の仕事人

ロッテの助っ人2選手を支える通訳・田原大樹氏の仕事

 

ロッテの主軸を担う2人の外国人選手、デスパイネとナバーロ。彼らが活躍できる裏には、1人の通訳の奮闘がある。ただ言葉を日本語に変換するだけではない。選手たちがストレスなく日々を過ごし、気分よく試合に臨めるようケアするのも、通訳の重要な任務なのだ。
取材・文=杉浦多夢、写真=小山真司


できることは何でもする


期せずしてロッテの通訳となった。その仕事は思い描いていたイメージとは違ったものだった。外国人選手の言葉を日本語として伝える、それはこの仕事における前提であり、一部でしかない。通訳することだけが仕事だ、という意識でいたら、田原氏が今もロッテで活躍する姿は見られなかったかもしれない。通訳以外にもやれることを自分で探す。それを実行することで、スタッフを含めたチームから仲間として認められ、溶け込んでいくことができた。

 大学3年生のときに1年間、メキシコへ留学し、卒業後に外務省の交換留学制度でふたたびメキシコに留学しました。でも、留学から10カ月も経たないときに、メキシコで豚インフルエンザが流行したんです。それで帰国することになったのですが、帰っても仕事がない。大学の先生に相談したところ、ロッテがキューバ人の通訳を募集していると。2009年5月に帰国し、試験を受けて、6月から働かせていただくことになりました。帰国しなければならなくなったときは残念でしたが、今振り返れば運がよかったなと思います。

 当時は野球について詳しくなかったので、最初は心配でした。ただ、ある人から「チームスタッフとして雇われたのだから、できることは全部やったほうがいいよ」と言われて、とにかくそれを実行しました。通訳だけをやればいいと考えるなら、球場での仕事はそれほど多くありません。だから、ボールの仕分けをするとか、グラウンドの荷物を運ぶとか、ケージを片づけるとか、「何かやれることはありませんか」と聞いて回って、できることは自分からするようにしていました。

 最初に担当したのはムニスというキューバ人選手でした・・・

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