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裏方物語 チームを支える仕事人

西武 球団本部ファーム 育成グループ バイオメカニクス(一軍グループ兼務)兼企画室アライアンス戦略・榎田大樹 投手のパフォーマンス向上のために「コーチが困ったときに手助けできるように、準備を進めていきたい」

 

2011年ドラフト1位で阪神に入団し、いきなり62試合の登板。しかし、順風満帆な野球人生ではなかった。幾度もケガを経験し、18年開幕前には西武へ移籍。新天地で11勝を挙げ優勝に貢献したが、昨年限りでユニフォームを脱いだ。引退後は西武でチームスタッフに。投手のパフォーマンス向上のために力を尽くす日々だ。
取材・文=小林光男 写真=埼玉西武ライオンズ、BBM


スパッと気持ちを切り替えて


 左手指骨折もあり、一軍マウンドに立てなかった2021年。オフに戦力外通告を受けたが、野球への情熱は消えることはなかった。12月上旬、現役生活をかけて臨んだ12球団合同トライアウト。打者3人に対して三ゴロ、右飛、左中間二塁打、最速は138キロをマークした。「自分の中では満足して投げられた」と笑顔を浮かべたが、ベテラン左腕の獲得に名乗りを上げる球団はなかった。

 現役を続けるために海外なども含めていろいろ模索していたんですけど、トライアウト後にライオンズからチームスタッフのお話をいただきました。当初は年内に返事が欲しいということでしたが、自分としてはユニフォームを着る可能性をギリギリまで探りたかった。すると、ライオンズは1月中旬までは待ってくれる、と。そこまでやってくれるのであれば、1月中旬を区切りにしよう、と考えて。野球選手としてのオファーが届かなければ、チームスタッフとして新たな人生を歩んでいこうと決めました。実際はもう少し時間をかければ現役の可能性はあったかもしれませんが、1月中旬までに条件提示などがなかったのでスパッと気持ちを切り替えましたね。

 11年に及んだプロ野球人生で思い出深いことはたくさんあります。その中で1つ挙げるとしたら、交流戦で阪神相手に勝利投手になったことでしょうか。ドラフト1位で阪神に入団しながら最後は結果を出せずに、2018年の開幕直前に西武へ移籍。同年、阪神相手に7回5安打3失点で勝利投手になりました(6月3日、メットライフ)。

 試合後、ヒーローインタビューが終わって、ライオンズの場合にはビジターの一塁側にもファンとハイタッチしに行くんですが、阪神ファンの方も結構いて。阪神が負けたにもかかわらず、温かく祝福してくれたんですよね。そのときに・・・

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