臨場感はテレビ観戦の比ではない。ケタ違いのスピード&パワーで観衆を魅了し、一投一打が勝敗を大きく左右する。そんな超一流のプレーをよりエキサイティングに演出するのがスタジアムMCだ。昨季からロッテの本拠地・ZOZOマリンで、“声”で球場観戦の魅力を引き立たせているYUIさんだが、演出に携わる中で心掛けていることがある。
取材・構成=鶴田成秀　写真=BBM

“1球集中”で

　空気をつくるには、空気を読むことだ。1球たりとも見逃さず、あらゆる情報にアンテナを張り巡らせることは欠かさない。だから、瞬時に、そして自然と気持ちが高ぶる声が出る。

　スタジアムMCって何？　そう思う方もいるのでは。先駆けはアナウンスをされている女性の方であり“ウグイス嬢”に近いと言えば、イメージしやすいでしょうか。近年はその男性バージョンの需要も高まり『スタジアムMC』が定着しつつあるんです。もちろんZOZOマリンでは、皆さんご存じの谷保恵美さんがアナウンスされており、僕も一緒に声で球場を盛り上げるサポートをさせていただいています。華やかさのウグイス嬢に、力強さのスタジアムMC。そうイメージしていただければ分かりやすいのかなと思います。

　具体的な仕事内容は、試合開始の約1時間前に『ウォームアップショー』を行っています。試合開始に向けて球場の雰囲気を温め、来場いただいたファンの方たちと交流しながらトークをして、ワクワク感を出していく。始球式は『NICE PITCHING！』と声を出したりしています。そのあとに、選手が守備に就く際に選手名をコールする。そうして試合が始まり、プレーに対して『NICE PLAY！』と声を出したり、三振を奪った投手の名をコールしたり。そうして試合進行と演出をさせていただいています。

　ただ、僕自身、スタジアムMCを目指していたわけではないんです。もともと、ご縁があってラジオDJのオーディションの機会をいただき・・・