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裏方物語 チームを支える仕事人

西武 ファーム・育成グループS&Cヘッド・坂元忍 信頼関係を築いて選手をサポート「一軍に定着した選手が若手にトレーニングの重要性を説いてくれたことが印象的でした」

 

2019年から西武はトレーニングコーチの肩書きをS&Cに変更した。ストレングス(Strength)&コンディショニング(Conditioning)。仕事内容は変わらない。選手のケガの予防と身体能力向上を目的としてトレーニングを指導する役目だ。2007年に二軍トレーニングコーチとして西武に入団した坂元忍氏は現在、一軍を経て、ファーム・育成グループS&Cヘッドとして若手の成長を促す日々を送る。
取材・構成=小林光男 写真=埼玉西武ライオンズ

西武のファーム・育成グループでS&Cヘッドを務める坂元忍氏


専門学校には行かずに


 夢はプロ野球選手だった。近大付高では3年夏、1992年に副主将として甲子園に出場。卒業後、プロに進む森岡裕之(元ロッテほか)-久保充広(元近鉄ほか)のバッテリーを擁し、1回戦は松商学園高に5対0で勝利。二番・二塁でスタメン出場した自身も1安打3盗塁で初戦突破に貢献した。2回戦で北陸高に4対6で敗れ目標の全国制覇はならなかったが、進学した龍谷大でも野球部へ。しかし、そこでプロへの道をあきらめることになった。

 大学に進学したときは『何とか頑張って4年後にプロへ!』と少し思っていたんですが、実力がないことを痛感しましたね。2学年上に正津英志さん(元中日ほか)、大島寛さん(元西武)、1学年上に益田大介さん(元中日ほか)とプロ入りする先輩たちがいたのですが、その方たちと自分を比べると難しいな、と。あとは大学で肩を痛めてしまって。ボールをまともに投げられないし、思いどおりにいかないことが多かったですね。

 ただ、大学卒業後の進路を考えたとき、普通にサラリーマンになるイメージがわかなかったんですよ。やっぱり、野球やスポーツに携われたらいいなと考えて。近鉄やロッテなどでトレーニングコーチをやられていた立花龍司さんが大阪で開いていたジムに中学時代から通っていたこともあり、『こういう仕事もあるんだな』とは認識していたので、トレーナーの仕事も視野に入りました。

 それで大学卒業後は大学に所属されていたトレーナーの方について働かせてもらいながら、資格取得を目指しました。専門学校に通うよりも実際に現場を体験しながらのほうがいいと思ったんですよね。社会人野球や高校野球、ラグビー、アメリカンフットボールなどさまざまなスポーツ現場に派遣されて、経験を積んでいきました

まずは対話を重ねて


 トレーナーとして働きながら、学ぶ日々。ライオンズへ入団するきっかけは知り合いを通じて、当時西武に所属していた大迫幸一トレーニングコーチと縁ができたことだった。2007年に西武入団。まずは二軍トレーニングコーチからプロ球団でのキャリアをスタートさせた。

 最初は僕が選手に指導してもいいのか葛藤がありましたね。特にベテラン選手です。自分自身がやってきたのは正しいことだったという自信はありましたが・・・

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舞台裏の仕事人

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