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裏方物語 チームを支える仕事人

オリックス 運営グループ・上岡千夜子 大家族を育んだ“愛”「仕事ではなく生活のすべて。ヤンチャな子、文句を言ってくる子もいたんですけど(笑)、皆が大好きなんです」

 

縁の下の力持ち──。これほど、この言葉が似合う人はいないだろう。オリックス・ブルーウェーブ時代のグリーンスタジアム神戸(現ほっと神戸)からロッカールームの清掃やユニフォームの洗濯をサポート。チーム、そして選手の歓喜も苦悩も知っている。ナインが“お母ちゃん”と慕うオリックスという大家族の母が与えた愛が、皆の元気に変わっていった。
取材・構成=鶴田成秀、写真=球団提供

上岡千夜子さん


思い出が詰まる“階段”


 本拠をグリーンスタジアム神戸(現ほっと神戸)に構えたブルーウェーブ時代からチームとともに汗を流し、今季限りで定年を迎えた。当時を振り返えれば、思い出が詰まった場所がある。

 今年10月いっぱいで定年を迎え、退職することになりました。10月26日の日本シリーズ第4戦の前には、選手会からのサプライズプレゼントで、ユニフォームと花束をいただき胸がいっぱい。チーム、そして選手の皆さんに感謝、感謝の思いです。楽しいことばかりではなく、つらいこともありましたが、それでも気がつくと球場に足が向いていたのは、私自身も選手にパワーをもらっていたからなんですよね。

今年10月に定年退職となり、ナインは日本シリーズ第4戦の試合前練習の開始直前にサプライズで惜別セレモニーを開き、涙の記念撮影も[右は宗佑磨、左は比嘉幹貴]


 振り返れば、仕事に就いたのは1992年のこと。当時はビジター球団の三塁側を担当し、阪急ブレーブス時代の西宮球場から勤められていた先輩が一塁側を担当されていたんです。その先輩がご退職され、99年からオリックスの一塁側を担当するようになったのですが、試合前は本当にいろんな準備があって。氷を持っていったり、ヤカンにお茶を入れたり、トレーニングコーチが選手に渡すサプリメントを運んだり。準備はたくさんありました。

 そんな準備以上に大変なのが“階段”。神戸の球場はグラウンドに出るまで、長い長い階段があるんです。球場入口から選手のロッカールームや、給湯室はグラウンドより一段、二段、高い場所にあるので、ベンチやグラウンド近くの部屋に荷物を運ぶのが大変で。あの階段を何往復したことでしょうか……。1日10往復は当たり前、20、30往復と数え切れないほど、階段を上がったり下がったり。ベニヤ板を置いて自分でスロープをつくろうかと思ったくらいです(笑)。だから・・・

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舞台裏の仕事人

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