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プロ野球を支える仕事人

<TEAM STAFF CLOSE UP>通訳(トランスレーター)・伊藤ヴィットル(阪神)「シーズン中は通訳としての仕事をしっかりやること。外国人のサポートを最優先に考えています」

 

2024年からスペイン語中心の通訳として阪神で働いている。高校のときに野球留学で来日し、社会人野球までプレーした。通訳をやりながら今年3月にはWBCブラジル代表の内野手として予選ラウンドに出場し、第一ラウンド出場を決めた。26年の3月、パイレーツの剛腕スキーンズからヒットを放ちジャッジのゴロを華麗にさばいているかもしれない。しかし、その前にシーズン中は外国人選手たちのサポートに徹している。
取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也、Getty Images

通訳[トランスレーター]・伊藤ヴィットル[阪神]


日本野球の経験を生かし


 尼崎市にある阪神の新二軍施設で、グラブを手に、外国人選手の支度をサポート。準備が整うとキャッチボールの相手を始めた。プロ選手と遜色ないスムーズなフォームだ。何度見返しても投げる姿は、素人ではなくプロ選手そのものと言ってもいいだろう。キレイなキャッチング、しなやかな腕の振りからのスロー。

「シーズン中ですから、頭の中は100%、通訳としての仕事のことしか考えていません……でも、10%くらいは選手としてのことを考えているかもしれませんね(笑)。外国人選手だけでなく、ときに選手の中で、キャッチボール相手が見つからないときに相手をしているので、常にボールには触れていますね」

 2026年春に第6回のWBCが開催される。ブラジル代表は、今年3月に予選を突破し第一ラウンドに出場することが決まっている。伊藤ヴィットル通訳は、そのブラジル代表の内野手として登録されているのだ。3月に行われたアリゾナ州ツーソンでの予選に出場した。本業である阪神の通訳もしながらの「二刀流」代表選手なのだ。2月中旬に二軍キャンプを離れ渡米。初戦のコロンビアには敗れたが、ドイツと中国に2勝。第2代表選でドイツとの再戦で勝利し予選突破。伊藤通訳もチームの勝利に大いに貢献した。

 ブラジル生まれの日系3世。小さいころにブラジルで野球を始めた。兄がスカウトされ、先に埼玉の本庄第一高に野球留学していたこともあり、自身も同じように野球留学を決めた。だが・・・

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