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デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」
現役選手たちには今こそ、2011年シーズンを思い出してほしい

 

 週刊ベースボール読者の皆さま、こんにちは、デーブ大久保です。今週から、誌面をお借りして連載をさせてもらうことになりました。よろしくお願い致します。タイトルは僕の元気なスタイルの雰囲気で「さあ、話しましょう!」です。これまで僕が野球を通じて経験したことや感じたことを、お話させていただきます。では、さあ、話しましょう!

 プロ野球が3月25日に開幕しました。しかし、その前に野球賭博や金銭授受が大きな問題になりましたね。なぜプロ野球の選手がそういうことをしてしまうのか……現役選手の多くは、プロ野球の原点を忘れてしまっていますよ!「思い出してください、5年前を」と強く言いたい。昨年、楽天の監督をやらせてもらいましたが、その前は2012年から二軍監督やコーチとして、さまざまな東北の地を遠征しました。中には(東日本大震災からの)復興にはほど遠いような場所でも試合をしています。

 そこで感じたことは、プロ野球というものは、ファンの皆さんに試合の間だけでも「つらいことや悲しいことを忘れていただくモノ」なんだということです。僕ら野球人にはそれしかできない。だからこそ、野球ファンに命がけのプレーを見せることにまい進しなければいけないと思うんですよ。勝負に真剣に向き合うことに全力を注げば、金銭授受や野球賭博などに興味を持つこともないと思うんです。

いろいろな問題が起こってしまった今だけに全力プレーでファンの期待に応えてほしい/写真は楽天・松井稼、写真・高塩隆


 現役選手たちには今こそ、2011年シーズンを思い出してほしいんです。あの苦境の中で球場に足を運んでくれたファンの方々の気持ちを思えば、今回の騒動などは起きなかったはず。ただ、起こってしまったことは仕方ありません。大事なことはこれから現役選手たちが、全力でプレーすることだ思うんです。そして攻守交代でも全力疾走をしてほしいです。医学的に見ても全力疾走は目的を持つための行為だそうですし、集中力も高まると言われています。昨年セ・リーグ優勝を果たしたヤクルトも攻守交代がきびきびとできている。強いチームというのはそういうものなのだと思います。

 今年の開幕戦は、テレビの仕事で昨年まで指揮を執った楽天とソフトバンクの試合を取材し、選手たちがどういう形で全力のプレーを見せてくれるのか、楽しみにしていました――。選手たちはできる限りの全力プレーと攻守交代はやってくれたと思います。足に不安のあるベテランの松井稼頭央でさえもそうでしたから、良かったと思います。開幕戦の緊張などもあったと思いますので、全力プレーもできたのでしょうが、今後はぜひシーズン終了まで継続をしてほしいと思います。

 このような騒動は、すべて出し切った上で、この辺りで終わりにしてほしいですね。新しいシーズンが始まっただけに、余計にそう思うんです。そのためにも、現役選手たちが、もう一度原点に戻り、全力でプレーする姿をファンに見せてほしいと願っています。

PROFILE
おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任。15年限りで辞任した。今年から野球解説者をこなしながら新橋で居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。「肉蔵でーぶ」東京都港区新橋3-3-7信友ビル1F17時〜23時(LO)定休日 日曜 アクセス JR・銀座線・浅草線「新橋駅」烏森口より徒歩5分都営三田線「内幸町駅」A1口より徒歩5分
デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」

デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」

元楽天監督、現解説者の「デーブ」こと大久保博元氏の連載コラム。

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