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立浪和義のコラム

立浪和義コラム「球児の皆さんを思うと言葉がありません」

 

高校時代の筆者


気持ちを切り替えて


 5月20日、日本高野連から夏の甲子園大会が中止されることが、正式に発表されました。

 編集部から、そのことについて何か書いてほしいと言われましたが、「長い物にはできませんが、それでもいいですか」と返事をしました。

 球児の皆さんを思うと、本当に言葉がありません。気の毒としか言いようがありません。

 発表では、代表校を決める地方大会も中止ということです。各都道府県の判断で、また違った形で開催される可能性もあるということですが、甲子園という目標が先にあるのとないのでは違いますし、その地方すべてのチームが参加する大会については、開催されない都道府県もあるのではということです。

 私自身、小さいころから甲子園を大きな夢として持っていましたし、PL学園高に入ってからは、その舞台を目標に、仲間たちと厳しい練習を乗り越えていきました。

 私は、幸い3年生では春夏と出場し、しかも全国制覇をすることができましたが、2年生の夏は大阪大会で敗れ、悔し涙を流した経験もあります。また、たとえ一度も甲子園出場がかなわなかったとしても、出場を目指し、仲間たちと苦しい日々を乗り越えた経験は一生の財産になったと思います。

 なのに今年は、その目指す場所自体がなくなった……。センバツがなくなったとき、せめて夏は、と思っていた球児の皆さん、チーム関係者の皆さんも多かったでしょう。本当にかける言葉がありません。

 夏ではなく秋と言っても、プロ野球のスケジュールもあるでしょうし、甲子園以外の場所というのもまた違うように思います。球児たちにとって、甲子園に代わる舞台はありません。

 ここからプロ野球、大学、社会人と野球を続けていく選手、ここを集大成としていた選手。いろいろな人がいるでしょうが、悔しさはみな同じだと思います。

 気休めになるかもしれませんが、皆さんの人生は、これからのほうがずっと長い。時間はかかると思いますが、何とか次のステップへと気持ちを切り替えてもらえたらと思います。

PROFILE
立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブ賞に。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブ賞に輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。
立浪和義の「超野球論」

立浪和義の「超野球論」

そのときどきで気になった選手や試合、さらに、私が感じたポイントについて書いていきたいと思います。野球をより深く知りたいという方、また、もっともっと野球がうまくなりたいという中学、高校生のみなさんにも参考になる連載になればと思っています。

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