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立浪和義のコラム

立浪和義コラム「DeNAの逆転優勝はあるのか」

 

カギを握る四番の佐野/写真=大賀章好


新主役の佐野


 開幕から2カ月が過ぎ、残りはあと70試合を切ろうとしています。各チームとも過酷な連戦の中、思わぬ故障者が生まれたり、逆に急成長の選手が台頭したりしていますが、セ、パの首位が巨人ソフトバンク、そこにDeNA楽天が絡む流れは、私だけでなく、多くの解説者が開幕前に予想していた展開ではあります。

 私がセで、戦力的に注目していたのが現在2位のDeNAです。原辰徳監督の巨人が投打とも頭一つ抜け出してはいましたが、波が多いチームながら、個々の選手を見ると、十分、優勝を狙うだけの力があると感じていました。

 なかなか2年連続で活躍できない傾向がある先発投手陣ですが、今永昇太選手を筆頭に頭数がそろっていましたし、特に打線ですね。

 四番の筒香嘉智選手はメジャー移籍で抜けましたが、外国人のロペス選手、ソト選手という実績ある2人に加え、オースティン選手が入り、ほかにも宮崎敏郎選手もいます。完全に筒香選手の穴を埋められるかどうかはともかく、破壊力は昨年までとそん色ないだろうと見ていました。しかも、今回のコロナで外国人選手の起用の幅も広がり、私はラミレス監督が打線に外国人3人を並べてくる可能性もあるのかな、と思っていました。

 しかし、シーズンが始まってみると、打線の“主役”となっているのは、外国人選手3人ではなく、日本人の四番です。25歳の佐野恵太選手が開幕から軸になって安定した活躍を見せています。8月15日現在で打率.346で首位打者、開幕からなかなか出なかった本塁打も今は8本。何より勝負強さがいいですね。

いかに離されないか


 佐野選手は、昨年は代打が多かったのですが、打率.295ながら得点圏打率が.367と高かった。代打として、ここぞの場面での登場も多かったですし、私は勝負強い打者が出てきたなと思って見ていました。ラミレス監督も、この勝負強さから四番に抜てきしたようですね。

 打撃はしっかりバットを振る力があり、ボールを引き付け、自分のポイントで打つことができています。センターや逆方向にも強い打球を打ち返すことができ、大崩れせず、ここぞの長打力もある。あらためてラミレス監督の打者の能力を見抜く目にも感心します。

 オースティン選手は故障で離脱し、ロペス選手、ソト選手の不調は少し心配ですが、神里和毅選手が復帰後、好調を維持していますし、打線の力に大きな問題はないと思います。ただ、打線は軸の選手がしっかりしていると、ほかの選手も余分な重圧がなく次々新しいヒーローが出てきますが、その軸が振るわなくなくなると、不思議なもので途端にバタバタします。現状軸となっている佐野選手に不安があるとしたら1年間、スタメンでフルに戦った経験がないことです。特に故障には気をつけてほしいと思います。

 セ・リーグは今、巨人がリードしていますが、DeNAも山崎康晃選手が外れた抑えをしっかり確立できれば十分、追いつく力はあると思います。まずは、この暑い時期の厳しい連戦で引き離されずについていくことでしょう。終盤の勝負になったら面白いと思います。

PROFILE
立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブ賞に。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブ賞に輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。

関連情報

立浪和義

 これから毎週、そのときどきで気になった選手や試合、さらに、私が感じたポイントについて書いていきたいと思います。野球をより深く知りたいという方、また、もっともっと野球がうまくなりたいという中学、高校生のみなさんにも参考になる連載になればと思っています。

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