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立浪和義のコラム

松原聖弥選手に見る、粘る二番打者の有効性

 

打撃センスは高いものがある


優れた修正力


 優勝に向け、順調にマジックを減らしている巨人。現在、規定打席到達者は坂本勇人選手、丸佳浩選手、岡本和真選手だけですが、原辰徳監督は、この3人以外のスタメンは固定せず、その時点で調子のいい選手を使いながら戦っています。

 その中で「二番・ライト」で固定され始めているのが、25歳の松原聖弥選手です。10月はまだ10試合ですが(10月11日現在)、月間では打率.306、出塁率.405、得点圏打率.571と打撃好調を続けています。

 2018年途中育成から支配下となった選手で、故障もあって一軍初出場も今シーズンでした。身長173センチと上背はなく、線も細い印象がありますが、ミート力に加え、振る力もあります。意外とパンチ力があり、かつ広角に打てる器用なタイプです。

 以前、東京ドームのテレビ中継で松原選手を見て、バックスイングに入ったときに右肩がベース側に少し入っていたので、「これではバットが出にくいのでは」と解説したことがあります。それを誰かから聞いたのか、自分で感じたのかは分かりませんが、次に見たときは直っていて驚いたことがあります。ちょっとしたことなのですが、一連のフォームの流れの中で、体が無意識に動いているものを修正するのは、実は簡単ではありません。

快進撃に貢献


 巨人は松原選手が二番打者に入ったことで、打線のバランスもよくなってきたと思います。送りバントはほとんどないようですが、粘りながら球数を投げさせ、状況に応じて逆方向に打ち、うまくクリーンアップにつなげています。

 最近の球界はメジャーの影響もあって「二番打者最強論」がよく言われます。二番に強打者を置き、犠打などをさせず、畳みかけるように攻めていく野球は、確かにうまくかみ合えば大きな破壊力があります。

 ただ、一時期の巨人が、坂本勇人選手を二番に置いたり、ヤクルトでは山田哲人選手が入ることもありますが、私はクリーンアップクラスの選手が余っている状態で二番に強打者を置くならともかく、クリーンアップを削ってまでは、もったいないなと思っています。

 打線は水物です。いつも積極策だけでうまくいくわけではありません。やはり一、二番は足や小技も絡めてしっかりチャンスを作り、そこからクリーンアップにつないだほうが、シーズンをならしてみれば、ここぞの場面での得点力はアップすると思います。

 守備は以前、ライトゴロでも話題になりましたが、うまいですね。肩も強いし、判断もいい。これは打撃も同様ですが、あとは経験を積んでいくだけだと思っています。

PROFILE
立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブに。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブに輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。

関連情報

立浪和義

 これから毎週、そのときどきで気になった選手や試合、さらに、私が感じたポイントについて書いていきたいと思います。野球をより深く知りたいという方、また、もっともっと野球がうまくなりたいという中学、高校生のみなさんにも参考になる連載になればと思っています。

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