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伊原春樹の視点

中田翔に対して甘かった相手のリード/WBC2次ラウンド第1戦vsオランダ

 

3回、バンデンハークのスライダーを見事にとらえ3ランとして中田


 非常に緊張感のある、締まった好ゲームだった。3月12日、東京ドームで行われた侍ジャパンのWBC2次ラウンド初戦のオランダ戦。延長11回、タイブレークの末に侍ジャパンが8対6で勝利をつかんだ。

 決勝ラウンド進出に向け、大事な試合をモノにした要因の一つとしてやはり中田翔の打撃が挙げられる。四番の筒香嘉智が5打数0安打に終わり、その後を打つ中田が3安打5打点。すべての安打が得点につながり、その存在感は頼もしい限りだった。

 中田が結果を残した理由には相手捕手のまずい配球もあっただろう。先発のバンデンハークといえばやはりその真っすぐが最大の武器である。中田に対して、捕手のリカルドはそれを生かせなかった。第1打席は4、5球目にカーブを続け、左中間を破る二塁打とされ、それが先制点へと結びついた。

 1対1の同点で迎えた3回、二死一、二塁で再び打席に中田。初球、ストレートが低めに外れた。2球目は外角低めのスライダーをファウル。そして3球目。再びスライダーを選択したが、それが外高めに浮き、左翼席に飛び込む3ランとされてしまった。

小林の見事なリードも勝因となったのは間違いない


 一方の小林誠司は積極的にスイングしてくる外国人打者の特性もよく理解し、時に内角を突きながら的確な配球をしていた。ピンチを迎えても勝ち越されなかったことも勝因の一つだが、そこには小林のリードがあったのは間違いない。

 1点リードの9回裏、則本昂大を投入したが結果的に追いつかれてしまった。確かに則本は150キロを超えるストレートを持っているが、そういったボールも外国人打者にとって日常的なこと。フォームもきれいで、フォークもストンと落ちるわけではない。大事な場面を任せるにはやはり苦しいのではないか。今後、侍ジャパンが勝ち抜くために選手の見極めも重要になってくる。

写真=小山真司
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