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伊原春樹の視点

クレバーだった筒香嘉智の打撃/WBC2次ラウンド第2戦vsキューバ

 

3回、5回に素直にセンターへはじき返して同点打とした筒香(写真=Getty Images)


 決勝ラウンド進出へ前進――。3月14日、東京ドームで行われたWBC2次ラウンドでキューバ相手に8対5で勝利した侍ジャパンだったが、この試合では四番・筒香嘉智の打撃が光った。
 
 ともに1点ビハインドの3回、5回にセンターへ同点打を弾き返したが、「オレが決める!」という気負いはまったくなく、「つないでいこう」という意識が働いた結果の一撃だった。普通なら四番として力が入って、ボールを思い切って引っぱたきそうなものが、筒香は決してそんなそぶりは見せない。そこには筒香のしっかりとした観察眼もあったと思う。

 例えば5回の打撃。前の打者である青木宣親は一死二、三塁の場面で左腕・イエラから外角へのスライダーを軸に攻められていた。結局、8球目の外角低めのスライダーを二ゴロとして、三塁走者を迎え入れた。ネクストで青木に対する相手投手の攻め方をじっくり見ていた筒香は、自らに対しても同じように攻めてくると感じ取っていたのだろう。果たして4球目、筒香は外角低め、ボール気味のスライダーを素直に打ち返して中前適時打とした。

 筒香がこのクレバーさを持ち続けている限り、四番としてしっかりとチームを勝利に導く打撃を続けてくれるはずだ。

8回、内川が決勝犠飛を放ったが、右翼手が捕球しなければファウルだった(写真=小山真司)


 ところで今大会、日本に2連敗したキューバ。亡命が相次いで、致し方ない面もあるだろうが、レベルの低下は否めない。出てくる投手のすべてが侍ジャパンの選手にとっては打って当たり前というレベルで、おそらく日本のプロ野球チームに入ったとしても一軍で結果を残すのは厳しいと思わざるを得なかった。

 さらに、同点で迎えた8回一死一、三塁の場面だ。代打の内川聖一が決勝犠飛を放ったが、右翼手が捕らなければこれはファウルだった。こういった場面、普通は事前にコーチが「ファウルは捕るな」と指示するし、選手も確認するはずだ。こういった確認も怠っていたのだろう。

 それに、巨人でまったく結果を残せなかったセペダが「三番・DH」でスタメン出場している。それが、今回のキューバの実力を物語っていると思う。

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