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WBC準決勝vsアメリカ/INSIDE REPORT

点差以上の力量差があり準決勝で敗退した侍ジャパン

 

8回、三ゴロをファンブルして三走の生還を許した松田。これが決勝点となってしまった


 拮抗したゲームの場合、ミスを犯したほうが窮地に追い込まれるのは当然だ。3月21日(現地時間)、準決勝のアメリカ戦がロサンゼルスのドジャー・スタジアムで行われ、日本は1対2で惜敗。2大会連続の4強止まりで大会を去ることになった。

 2つの内野守備のミスが失点につながり、これが直接的な敗因であることは事実だ。1つ目は4回一死から三番・イェリッチのセカンドゴロを、今大会再三の好守でチームを救ってきた菊池涼介が大きくはじき、二塁進塁を許したシーン。これを契機に、六番・マカチャンに適時打が出て、アメリカに先制を許した。その後、6回に菊池自らの本塁打で同点とするも、「悪い流れを作ってしまった。みんなが打たないといけないと思ってしまったかもしれない」と感じるとおり、先制点を与えた意味は大きい。

 8回には一死二、三塁からジョーンズのサードゴロを、松田宣浩がファンブル。ホームへ突っ込む走者を刺そうと焦った。打者走者を一塁でアウトにしたためにエラーは記録されなかったが、試合を決めた2点は戦前にアメリカ代表が「基本に忠実でミスがない」と警戒した日本の姿とは大きくかけ離れていた。先発の菅野智之が「彼はビッグ・リーガ(メジャー・リーグ)の投手」とリーランド監督が絶賛するほどアメリカ打線を力と技術で抑え込み、その後を受けた千賀滉大平野佳寿もメジャー・リーガーをそろえたアメリカ打線相手に互角以上に渡り合っていただけに、ミスにより失点はあまりにも惜しい。

 ただし、小久保裕紀監督が試合後に「彼らを責めることはできない」とこれまでの功績を交えつつ語ったのもうなずける。むしろ1対2という点差、さらには戦前の予想以上に日本の打者とアメリカの投手との間には力量差があった。こちらのほうが問題だ。

 1、2次ラウンド6試合で46得点の打線はこの日、散発4安打。得点は前述の菊池の本塁打による1点だけと好投する投手陣を援護することができなかった。先発のロアークはもちろん、後を受けたN.ジョーンズ、ミラー、ニシェク、グレガーソンら登板した7人はメジャー屈指のスターター&リリーバーたち。いずれも150キロ超のスピードボールを持ち、これに変化の鋭いツーシーム、ハードシンカーなどを操る。初見で対応することは難しく、個性のあるボールに日本打線は凡打の山を築いてしまった。この日、4打数0安打1三振の五番・中田翔の言葉がすべてだ。

「(先発のロアークは)みんなが思っている以上にツーシームが動いていました。予想以上でした。正直、あそこまで動くボールを日本で投げる投手はいない。そこに手こずりました。さすが、と言うのはおかしいのですが、メジャーを代表する投手。素直にすごいと思いました」

 点差だけを見ればクロスゲームも、個の勝負では完敗だった。

文=坂本匠 写真=小山真司
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