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センバツ・リポート/敗れざる者たち

【センバツ】2度あることは3度あったが今夏こそ日本一を狙う秀岳館(熊本)

 

3季連続で準決勝敗退となった秀岳館。この悔しさを糧にさらに成長する



 試合前取材で、報道各社が聞くことは決まっていた。秀岳館・鍛治舍巧監督も、聞かれることは百も承知だった。3季連続での4強進出。しかし、昨春(対高松商)と夏(対北海)は、ともに準決勝で敗退。

「ディスゲームに集中する。関係ないです。チームが違います」

 とはいえ、昨春は「自信がありました」と振り返った上で「先を見てしまった」と後悔している。

「NHKのテレビ解説を25年。分かっているのに……慢心、油断があった。本当に(目の前の試合を)必死にやらないといけない」

 一方、夏は「(4月の熊本地震で)1カ月練習できず、調整が難しかった中でよく戦ったと思います」と指揮官は言う。だが、ベンチ入りしていた選手に話題を振ってみると「勝てるだろう、と。決勝のことを考えてしまった」と、心のスキを認めている。

 3月30日、大阪桐蔭との準決勝。秀岳館の強力打線は相手エース・徳山壮磨をとらえ切れず、1対2で惜敗した。

 試合後。お立ち台に上がった鍛治舍監督には、その質問が集中した。

「いや〜特に……。春は試金石だと思っていたので、4試合、良いゲームができた。夏につなげていきたい」

 あらためて4強の壁について問われると、語気を強めて言った。「壁なんかない。昨年は昨年、今年は今年。そう、書きたいんでしょう?」と最後は苦笑いしていた。

 これが、本音のようだ。今大会、背番号1の田浦文丸との3年生サウスポー2枚看板で勝ち上がってきた背番号10・川端健斗の言葉だ。

「前回2回は先輩に連れてきてもらったが、今回は自分たちの代。先輩のために何かできないかと考えていたが、この大会は、引っ張っていく立場として何かが足りなかった。(最後の夏は)同じ形にはしないように、日本一を取れるように練習したい」

 2度あることは3度あるのか……。「3度目の正直」とはならなかった。負けた結果ばかりを追ったが、3季連続での4強は、立派だ。

「今年は4、5月も練習試合、招待試合と実戦が積める。夏を楽しみにしています」

 鍛治舍監督は、テレビ解説でおなじみだった笑顔で甲子園を後にした。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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