週刊ベースボールONLINE

編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

楽天・松井裕樹の心意気

 

開幕カードで1勝1セーブを挙げた松井裕樹



 見せ場は開幕戦(3月31日、京セラドーム)で訪れた。4対4と同点の9回裏にマウンドへ上がると、1四球を与えたものの、2三振と遊ゴロに抑える。そして10回、再び黄色のグラブを携えてマウンドへ。いきなりの回またぎだ。

 2月中旬、春季キャンプが行われていた沖縄・金武町で聞いた、松井裕樹の言葉を思い出していた。

「昨季は左ヒジに不安があったので、それほど多く回またぎをさせてもらえなかった。でも今年は順調にきています。だから(投手コーチに)『行かせてください』とお願いするつもりです」

 WBC帰り、しかも実戦登板をはさまぬぶっつけ本番。条件は厳しいと思われたが、それでもこの有言実行だ。10回にも四球で走者を背負ったが、最後は高めのストレートで空振り三振を奪い、意気揚々とベンチへ戻っていった。

 その直後、ペゲーロの特大弾で2点を勝ち越し、最後を新外国人・ハーマンが締めた。2017年、松井裕樹の手元にはセーブよりも先に白星が舞い込んだ。梨田昌孝監督は「松井が『2回いく』と言ってくれて、よく投げた」と目を細める。さらに3戦目、勝ちパターンの9回に登場すると、1点差を守って初セーブを記録。開幕カードで1勝1セーブと、上々の滑り出しを見せたといえるだろう。

 WBCではチームとして悲願の世界一に届かず、個人としても中継ぎとして無失点ながら3試合の登板にとどまり、満足いく成績は残せなかった。それだけにシーズンを戦うためのモチベーションは高い。4年目の21歳は、侍ジャパンでは最年少。楽天でも年上の投手が多く、「まだまだ下っ端ですよ」と肩をすぼめる。それでも、今の投げっぷりはチームを支える骨格の一部と言っていい。

 将来的には先発復帰の野望もあるが、まずは今の持ち場でしっかり働いてから。クローザー3年目の挑戦がスタートした。

文=富田 庸 写真=佐藤真一
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング