プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は4月12日だ。
9回一死までノーヒットノーランだった
広島の加藤拓也をはじめ、新人投手たちの活躍が話題となっているが、4月10日時点で、完投投手はいない。考えてみたら、それも当たり前の話で、現時点でセ・リーグの完投投手はゼロ。パ・リーグは4月9日の
日本ハム戦(京セラドーム)で完封勝利を飾った
オリックスの
西勇輝と、その前日、同じく京セラドームでの同カード、やや“懲罰気味”の続投で8失点完投負けとなった日本ハムの
有原航平のみだ。
そう考えると1967年、東映(現日本ハム)のドラフト1位(二次ドラフト)、高橋善正はすごかった。4月12日、東京戦(後楽園)、プロ初登板で初先発し、延長13回を167球、完封勝利。しかも2、3回と1安打ずつ許したが、4回以降、10イニングをノーヒットノーラン(失策1)と完ぺきなピッチングだった。
高橋は中大出身のサイドハンド右腕。
シュートを武器とし、「ストレートはシュートを生かすために投げているだけだった」という。結局、この年は15勝を挙げ、新人王にも輝いている。
高橋は“シュートはヒジに悪い”という当時の定説に真っ向から反論していた。
「俺は中学でヒジを痛めて、一番ヒジに負担がなかったのがシュートだった。人が腕を振ると自然とシュート系の球を投げる回転をする。シュート投手でヒジを壊したヤツは、たまたまそうなっただけさ」
いまのツーシームをシュートと考えれば、それはすでにメジャーでも実証されている“正論”だったと言える。
写真=BBM