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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

巨人・中畑清の“タブー”

 

“絶好調男”としてファンから絶大な人気があった中畑



 時間という名の魔術師――。

 人間、日常生活の中で思い悩むことがあっても、すべては時間が解決するということだ。

 5月2日(火)発売の『ベースボールマガジン6月号』で、中畑清氏にインタビューしたところ、歯に衣着せぬ“キヨシ語録”がズバズバとさく裂した。

原辰徳? 俺の最大のライバルだよ。なんで同じチームに来たんだよ、ハハハ」

 少なくとも10年前だったら、ここまで率直に語れただろうか。

 というのも現役時代の1981年、中畑氏にとって原辰徳の入団はチーム内における自らの存立を脅かすほどの出来事だったはずだ。70年代終盤にポスト長嶋茂雄の三塁手として将来を嘱望され、80年代ジャイアンツの旗手としてこれからという矢先に、よりによって自身と同じポジションのゴールデンルーキーが入団。その後、紆余曲折があり結果的には三塁手・原、一塁手・中畑として、両雄は見事に並び立った。だが、当の中畑氏の本音とすれば、原さえいなければ、ジャイアンツの三塁手としての野球人生を全うできたという思いがなかったと言えば嘘だろう。

 今回のインタビューは、その“タブー”にどれだけ迫れるかが一つのポイントだと思われた。いまだに中畑氏が当時のことに拘泥していたら、多くは語らなかっただろう。ところが、いざインタビューが始まると、あにはからんや――中畑氏にはまったく屈託がなかった。

 2017年、あれから36年もの歳月が流れた。これが時間という名の魔術師ということなのだろう。中畑氏の中では、原との関係性に関してはとっくの昔に消化されていたのだ。

 ここに至るまでには、横浜DeNAベイスターズの監督経験も大きかったと思う。「ジャイアンツじゃない中畑清」というアイデンティティを確立させた。そんな現在の中畑氏のプライドをどこに感じたかと言えば、次の発言だった。

「球団の枠を超えて応援してもらえたのは野球人冥利に尽きるし、このキャラクターを認めてもらえたところはあったのかな。そういう意味では長嶋さんに少し近づけた感じもするなあ。(中略)俺って、ジャイアンツが似合わないキャラクターでしょ(笑)」

 中畑節が満載の『ベースボールマガジン6月号』は「80’sジャイアンツ温故知新〜みんな巨人が好きだった」。ぜひご一読ください!

文=佐藤正行(ベースボールマガジン編集長) 写真=BBM

ベースボールマガジン6月号
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