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巨人・菅野智之、28年ぶり快挙と6戦連続への挑戦

 

5月2日、東京ドームでのDeNA戦で3試合連続完封を無四球で飾った巨人の先発・菅野智之


 すっかり投手分業制に慣れてしまって、28年ぶりという事実に驚いた。

 巨人・菅野智之が5月2日のDeNA戦(東京ドーム)に先発し、135球を投じ被安打5、無四球、9奪三振の力投で3試合連続の完封勝利を飾った。この「3試合連続完封勝利」が、セ・リーグでは1989年の巨人・斎藤雅樹(現巨人二軍監督)以来、28年ぶりの記録。QS(クオリティー・スタート= 先発投手が6イニング以上を投げ、3自責点以内に抑えたときに記録される)が日本でももてはやされ、「先発投手の責任は試合を作ること(すなわち個よりチーム)」が当たり前となった現代では、難しく、価値のある記録だ。

 試合直後のインタビューで、4試合連続完封への可能性を問われた菅野は「とりあえず、疲れたので、休んでから考えます」と、そのときの素直な気持ちを吐露していたが、一夜明ければ次戦の完封勝利が明確なターゲットとなっていることは、想像に難くない。2ケタ完投(15年の6完投がキャリアハイ)は常に菅野が目標とする明確な数値だからで、そのこだわりはまるで一昔前のエースのよう。

 3月に行われた第4回WBC出場の影響は微塵も感じられない。同じく日の丸を背負ったロッテ石川歩が、不調で4月19日に出場選手登録を抹消されるなど、WBCの“後遺症”に悩む投手は少なくないが、ペナントレース開幕から5戦4勝無敗がすべてを物語っている。実は「WBC球を完全に操るのは難しい」と大会直前に明かしていたのだが、「ある程度の割り切りは必要」と、特にコントロール面、変化球の精度に100点を求めず、妥協点を見つけマウンドに立っていた。完ぺき主義の菅野には珍しいこと。それでも例えば準決勝アメリカ戦で6回6安打自責点ゼロと、侍ジャパンのエースに恥じない内容を見せたわけだが、そんな菅野に帰国後に久々に握ったNPB球は鬼に金棒だった。「投げやすいし、コントロールしやすい」と逆にストロングポイントを再発見することにつながった。

 3戦連続完封となったDeNA戦では、特に四番・筒香嘉智の第3打席が秀逸。初球のカットボールこそ外角高めに外れたが、2球目の内角ヒザ元へのスライダー、3球目の内角胸元を突くフォーシーム、そして4球目の外角低めへズバッと決めたフォーシームはすべてコーナーいっぱいで、侍ジャパンの主砲に一度もバットを振らせることなく三振に。圧巻の投球内容、抜群の制球力を披露した。

 それでも菅野は、「ここ最近で一番苦しい展開。調子事態もあまり良くなかった」と5回までに5安打、3度三塁を踏まれた前半戦を猛省する。快勝の中にも課題を見つけ、次回登板までの修正を固く誓う右腕に、74年前(1943年)に藤本英雄(巨人)が打ち立てた6試合連続完封勝利への挑戦を期待したい。

文=坂本 匠 写真=大泉謙也
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