5月17日発売の「週刊ベースボール5月29日号」は球界で活躍している助っ人選手たちを特集している。
広島からは好調打線を支える大砲・エルドレッドにインタビューを敢行。その際、通訳を務めてもらった西村公良氏には、エルドレッドとのエピソードを紹介してもらったが(詳しくは誌面でご確認を)、ここでは掲載し切れなかった西村氏の通訳としてのこだわりを紹介したい。
球団通訳となり10年以上、チームに貢献している西村氏だが、通訳をやるうえで心がけていることは「選手が間違えていることはしっかりと『それは違う』と伝えること」だと語る。
「日本と海外では文化の違いがあり、また、それぞれの言い分があります。しかし、日本球界で仕事をしている以上、助っ人選手が『間違っている』と受け取っても、実は正しいこともある。それははっきりさせなければいけません。それのためにしっかり情報を伝え、助っ人選手が困らないようにすることは、絶対にやらなければいけないことですね」
選手の言い分を聞きながら、チームに順応できるように手助けしていく。ときには選手をたしなめなければいけないこともあるが、それも選手を思えばこそだ。
昨季、25年ぶりにセ・リーグを制した広島だが、エルドレッドだけでなくジョンソン、
ジャクソン、ヘーゲンズ、そして退団してしまったがルナと、助っ人選手がそろって活躍した。彼らが実力を発揮できた裏側には、通訳たちの尽力があるのだ。
「初めて優勝を経験しましたが、プロの世界で働いている以上、勝たないと意味がないんだということを本当に感じさせてもらえました。その一員でいられたことには自信を持っています。僕たちは野球はやっていませんが、サポートする立場で一緒に勝えたのはうれしかった」
再び優勝の喜びを。そう切望しているのは、ユニフォームを着た男たちだけではない。
文=吉見淳司 写真=佐藤真一