独特のトルネード投法から投げ込む快速球とフォークが武器だった
5月17日の
日本ハム戦(盛岡)。初回に5点を奪われながらも驚異の立ち直りで、2回から7回までを無失点で乗り切り5勝目(1敗)を挙げた
楽天の
則本昂大。12三振を奪い、5試合連続2ケタ奪三振とした。
歴代の記録を見ると、5試合連続は、則本のほかに5試合あり、うち2試合が近鉄・
野茂英雄。そして史上最多もまた、1991年プロ2年目の野茂が打ち立てた6試合連続となる。
野茂の記録は、4月7日のシーズン初登板(開幕2試合目)から5月9日までの記録だが、それがさほど大騒ぎにならなかったのは勝敗にある。則本は記録の期間中4勝0敗ながら、野茂は2勝4敗。記録達成試合も敗戦投手だった。ただし、その内容がすさまじい。
4月7日 日本ハム戦(藤井寺)11奪三振、162球、完投敗戦、4失点
4月14日
ロッテ戦(川崎)10奪三振、146球、完投敗戦、5失点
4月20日
西武戦(藤井寺)10奪三振、149球、完投勝利、2失点
4月27日
オリックス戦(藤井寺)10奪三振、136球、完投勝利、3失点
5月4日 西武戦(西武)10奪三振、144球、6回敗戦、9失点
5月9日 日本ハム(静岡)10奪三振、149球、完投敗戦、5失点
投げも投げたりだが、投げさせた当時の
仰木彬監督もすごかった。西武との激しい優勝争いの中、一時は抑えも務めた野茂は、結局、この年は17勝11敗1S、287奪三振、防御率3.05、22完投で投球数は3996球。ルーキーイヤーに続く2年連続最多勝、奪三振王、最多与四球と、この男に「2年目のジンクス」など、まったく関係なかった。
写真=BBM