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中日・荒木雅博からのメッセージ

 

6月3日の楽天戦(ナゴヤドーム)で通算2000安打を達成した荒木雅博


「じゃあ、夏までには達成しないといけませんね」

 そう声をかけると、中日・荒木雅博は「そうなんだよ」と言ってニコリと笑った。

 今年2月中旬、沖縄での春季キャンプ中の出来事だ。当日は荒木の母校である熊本工高時代の話を聞くために、二軍が練習していた読谷球場を訪れていた。

 当初の予定では、インタビュー開始は練習やマッサージなどをすべて済ませた午後5時ごろになるはずだった。しかし、球場内でたまたま記者の姿を見かけた荒木が「待たせるのも悪いから」と言い、マッサージを後回しに。2時間ほど早くスタートできるように気遣ってくれたことが印象深い。

 インタビューの中で話題に上がったのが、その時点であと39安打に迫っていた通算2000安打についてだった。熊本工高出身者としては川上哲治(元巨人)、前田智徳(元広島)に続く史上3人目の偉業。

「どこまで成績を伸ばしてもやっぱり雲の上の存在」

 プロ野球史に残る巧打者と比べられることは謙遜しながら、熊本工高の現役選手たちには「同じ高校から2000安打の打者が3人出るなんてなかなかないこと。プレッシャーをかけるわけじゃないけど、在校生野球部には『そういう選手が卒業しているんだぞ。頑張れよ』と激励になればいい。僕が打つことで何かを考えてくれれば」とメッセージを送ってくれた。そこで、冒頭の言葉につながったのだ。

「僕、高校野球が大好きなんです。今、強い高校はとか、面白い選手は誰とか、スポーツ記者の方に聞いて情報を集めているんですよ」

 屈託なく笑う表情は、プロ野球選手というよりも野球ファンのそれだった。

 荒木のメッセージはきっと、後輩たちに届いているはずだ。
文=吉見淳司 写真=内田孝治
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