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巨人監督事件史その1

巨人監督に途中交代なしは真実ではない

 

6月7日西武戦(ネットライフ)の巨人応援席。もはや沸点目前か……


 6月7日、巨人が西武に0対3で敗れ、ついに12連敗。過去、球団唯一の最下位となった1975年、長嶋茂雄監督初年度の11連敗がワーストだったが、ついにそれを更新してしまった。

「現実なんで、それは現実として全員が受け止めないといけない」

 高橋由伸監督の感情を押し殺したような淡々とした口調から、心中でグラグラと煮えたぎる悔しさが伝わってくる。75年はV9黄金時代があまりに長かったこともあり、世代交代が滞った中で起こった“悲劇”であり、しかもAクラスすら絶望となった9月半ばからの大型連敗だったが、今回は違う。

 山口俊陽岱鋼森福允彦とFA選手3人という異例の大型補強で優勝奪回を絶対目標に掲げて挑んだシーズン。坂本勇人菅野智之ら主力にも脂が乗っていた。確かに故障者続出もあったが、それでも広島阪神の2強に食らいついていたのが、一気に振り落とされ、真っ逆さまに落下した。

 ついに順位は5位まで落ち、首位広島とのゲーム差は11.5。あの大逆転V、96年メークドラマと同じ最大ゲーム差ではあるが、いまの戦いは、それを口にすることさえ、虚しくなる。

 このまま行けば、高橋監督の進退が問われる事態にもなりかねない。「巨人監督には途中交代がないのが伝統」と言う人もいるが、実際には真実ではない。過去を見ると1946年に藤本英雄兼任監督が43年兼任監督をし、その後、応召していた中島治康の復帰で選手専任に、その中島も47年途中、やはり三原脩に監督を譲り選手専任となっているし、形の上では「禅譲」も実際には「解任」の例は少なくない。

 今回はいくつかに分け、巨人監督の事件史を紹介する。巨人が連勝で順位を上げ、この記事が見当外れに終わることを祈りつつ……。

写真=高塩隆
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