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プロ野球デキゴトロジー/6月26日

これぞエースのプライド!巨人・江川卓が許した大記録【1986年6月26日】

 

マウンドで腰に手を当てバースが塁を回るのを待つ江川


 プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は6月26日だ。

 今年は1977年、巨人王貞治が世界記録通算756号を放ってから40周年となる。ヤクルトバレンティンが2013年に60本塁打を放って以来、昔話となったが、かつて王が現役時代につくったシーズン55本の日本記録は、ある意味、聖域となり、のちには、それを守るため、露骨な敬遠が行われたこともある。

 阪神のバースも、その“被害者”の1人だ。阪神が日本一に輝いた85年、54本で残り2試合と55本の日本記録に迫りながらも、相手が王監督率いる巨人だったこともあって徹底的に勝負を避けられ、「あと1本」のまま終わった。そして翌86年、バースが6試合連続本塁打を放ち、再び王の金字塔7試合連続ホームランに迫った。

 舞台は6月26日の後楽園。相手はまたも巨人だった。ただ、投手は江川卓。下位打線に手抜きはあっても、常に逃げず、敬遠を毛嫌いした男だ。果たしてチーム内でどのような話があったかは分からないが、この日の江川は自身の投手哲学を貫く。「フルスイングする強打者に、自身最高の高めのストレートで勝負」だ。それは入団以来、勝利以上にこだわってきたことでもある。

 江川は4打席目までバースにヒット2本を許すも、ホームランはなし。そして8回、5対5の同点で迎えた8回にバースが5度目の打席に入る。ラストチャンスでバースは推定飛距離150メートル、右翼スタンドを越える決勝の場外弾を放った。

 試合後、バースは「江川は力の投球でどんどん攻めてきた。男の勝負ができたよ」と笑顔。なお、記録は翌日27日のヤクルト戦でストップし、王とタイで終わった。

写真=BBM
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