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球児へ熱きエール

DeNA・筒香嘉智「野球から何を得られるかを考えて、日々を過ごしてほしい」

 

2年夏(2008年)の甲子園では準々決勝で2打席連続本塁打を放つなど4強進出に貢献し、打率.526、3本塁打、14打点をマーク


「四番」とともに歩んできた野球人生だ。名門・横浜高校で15年ぶりとなる1年春からその大役を任され、DeNAでも主に四番。そして3月のWBCでも侍ジャパンの“顔”として、世界に衝撃を与えた。原点は高校3年間にある左の強打者が神奈川球児へ熱いエールを送った。

――高校時代から慣れ親しむ、横浜スタジアムに思い入れはありますか。

筒香 僕は高校のときからプレーさせていただいていますし、今では本拠地なので、横浜スタジアムは特別ですね。同じデーゲームでも、プロとは光景が全然、違いますよね。

――第99回となる今年の夏も、神奈川大会はここからスタートします。

筒香 横浜高校は母校で、3年間、育てていただいたので気になります。

――「神奈川を制する者は全国を制す」とも言われますが、実際にプレーして感じた部分はありましたか。

筒香 神奈川は本当、レベルが高いなとは思いますね。高校時代も強い相手がいたことはもちろんですが、プロに入って以降も、午前中、試合の中継をロッカーで見たりするんです。神奈川の野球はレベルが高い。

――あらためて、横浜高校での3年間を振り返ってください。

筒香 渡辺(元智)監督には「人としてどうあるべきか、野球を通じて学びなさい」と言われました。小倉(清一郎)コーチ(部長)に野球の技術、プレーの細かい部分を教えていただきました。プロに入っても、小倉コーチが言っていたのは正しいことばかりで、レベルの高さを感じます。指導者2人から勉強させていただいたことは、いまでも生きています。

――横浜高校では1年春から四番の重責を担いました。紀田彰一さん(元横浜ほか)以来、15年ぶりでした。

筒香 先輩にやりやすい環境を作っていただきましたし、僕は1年生として、思い切ってプレーできました。

――甲子園の土も踏んでいますが、当時の思い出はありますか。

筒香 どの場面というより、甲子園でプレーしたこと自体が思い出です。

――2年夏の準々決勝(対聖光学院)では、2打席連続本塁打。3本塁打、14打点で4強入りに貢献したこの大会は、印象に残っていますか。

筒香 もちろん、ホームランを打ったことを忘れることはないですけど。甲子園というのは3年間、取り組んだ末の結果であって……。それよりも多くのことを学んだので、甲子園までの過程のほうが記憶にあります。

――3年夏は県大会準々決勝(対横浜隼人)で敗退。この横浜スタジアムで、高校野球生活を終えました。

筒香「最後の試合だから」ということはありませんし、ただ、高校野球が終わったという事実が残っただけ。特別な感情はありませんでした。試合がすべてではない。それ以上に人として勉強させていただくことがたくさんありましたし、野球をやっている以上は、学ばないといけない。

――高校3年生にとっては最後の夏。球児へのメッセージをお願いします。

筒香 野球を通じて何を学ぶか? 人としてどう生きていくか? 自分はこの2つを高校3年間、追い求めてきました。野球から何を得られるかを考えて、日々を過ごしてほしいと思います。試合ではミスを恐れず、思い切ってプレーしてほしいです。勝つか負けるかについては、その1試合で決まりますが、その先のほうが重要。野球というスポーツはなかなか、自分たちで左右できない部分が多々あるので、偶然性のもので勝負が決まるのが8割方です。繰り返しになりますが、結果よりも、その過程を大事にしてほしいです。努力の成果を発揮するのが試合。そこでは存分、楽しんでほしいと思います。
写真=BBM

※『高校野球マガジンVol.7 神奈川大会完全ガイド』より再編集
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