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広島大会主役候補は広陵高プロ注目の平元銀次郎&中村奨成バッテリー

 

1年春からベンチ入りの2人は、寮も同部屋で息ピッタリ。「甲子園で恩返し」が共通の思いだ


 この夏、注目のバッテリーが広島・広陵高にいる。プロのスカウトも熱視線を送る左腕・平元銀次郎と、捕手・中村奨成。彼らの名前を覚えておいて損はない。

 春夏合わせて甲子園出場44回、優勝3回、準優勝6回を誇る名門校にあって、ともに1年春から異例の大抜擢でベンチ入りを果たし、同夏に平元は全5試合に登板、中村は正捕手の座をつかみ、以降は不動の存在であることからも、その才能をうかがうことができるだろう。今夏の甲子園終了後、9月1日から9月11日までカナダ・サンダーベイで行われる第28回U-18W杯に参加する高校日本代表チーム(侍ジャパンU-18=小枝守監督)の第1次候補選手30人が6月16日に発表されているが、早実の清宮幸太郎らに並び、平元と中村の広陵バッテリーも堂々と名を連ねている。

 1年秋からエースナンバーを託された平元は、入学時は130キロ台だった速球が、最速146キロまで伸びていまなお成長中。さらに特筆すべきがタテのカットボールやSFFを思わせる、打者の手元で急激に落ちる自称「カーブ」だ。同校を率いて27年の中井哲之監督も「こんなカーブあるかい」と呆れるほどの球速(不思議なことに持ち球のスライダーのほうが球速が落ちる)があり、ストレートとのコンビネーションで高い奪三振率を誇る。新チーム結成以降、1試合平均12個以上で「(広陵高OBで現巨人の)吉川光夫より三振を取れる。低めへの制球力もついてこれまで3年間の中で、今が一番いい」(中井監督)と夏に向けて信頼を置いている。

 一方の中村は、今春の第4回WBCで侍ジャパンの正捕手を務め、ラッキーボーイとなった小林誠司(広陵高OBで07年春8強、夏準優勝。現巨人)に憧れを抱くが、中井監督に言わせれば「月とスッポン」だという。大学、社会人を経由して現在のポジションを確立した小林だが、高校時点での力量を比較すると「奨成は今の時点で打てる、走れる、肩が強くて、守備もいい。誠司とはモノが違いますよ」とベタ褒めだ。1年秋から打っては一、三番を任される中村は、昨夏は2本塁打11打点で、走っても50メートルを6秒1。攻守走の3拍子そろう高校生捕手だから、プロ複数球団のスカウトが試合のたびに訪れるというのもうなずける。

 ただ、この2人を擁しているのに、チームは2014年の夏以降、全国の舞台から遠ざかっている(つまり、平元と中村入学以降、甲子園出場がない)。新チーム結成以降、センバツ出場を掛けた昨秋も、中国大会出場を狙った今春も、下馬評では圧倒的優位ながら、前者は呉高に、後者は広島新庄高に苦杯をなめた。「1年生から試合に出させてもらっている僕らのせいです」とバッテリー。「甲子園に出場して恩返しをしたい」と口をそろえるが、果たして。第99回全国高校野球選手権大会広島大会は7月8日に開幕したばかり。12日に初戦(春準優勝のためシードで2回戦から登場。対崇徳)を迎える広陵高と、平元&中村バッテリーのパフォーマンスに期待したい。

文=坂本 匠 写真=山口高明
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