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【夏の甲子園プレーバック】春夏連覇の夢破れたDeNA 田中健二朗

 

甲子園で敗れたその秋、 高校生ドラフト1巡目で横浜に指名される


 史上6校目の春夏連覇を目指し、2007年夏の甲子園にやってきた常葉菊川の左腕エース、田中健二朗の視線は頂点しか見ていなかった。日大山形との初戦(2回戦)は8回2失点と上々の内容で勝ち上がったが、日南学園との3回戦ではチームは勝利するも自身は5回3失点降板の屈辱を味わう。その悔しさが準々決勝での快投につながっていく。

 同年のセンバツ決勝の再戦となった大垣日大との1戦は田中の高校3年間でもベストピッチと呼ぶにふさわしい内容となる。180cm、79kgの体からしなやかなフォームで投げ込むボールは球速以上のキレを感じさせた。出どころの見にくさ、繊細なコントロールを生命線に、4安打1失点の完投勝利。日南学園戦でKOされた反省を課題に、野球部のメンバー全員がマウンドの後ろに立ってヤジを飛ばす中、9回二死満塁カウント3-2の状況設定でど真ん中に投げ込む投球練習で強い気持ちを取り戻していた。

 だが、センバツ王者の進撃もストップするときがくる。広陵との準決勝は、序盤から田中が失点を重ね、打線も広陵のエース・野村祐輔(現広島)の投球を最後までとらえきれない。8、9回の反撃で1点差まで迫ったがあと一歩届かず。連覇の夢は消えた。

「負けても泣かないでおこうと思っていたんですけど、相手の校歌を聞いていたら涙が出ました」。全力で投げ抜いたベスト4は大きな財産だ。「いいところも悪いところも出ました。悔いはないです」。そう最後の夏を振り返った目にはもう涙はなかった。

写真=BBM
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