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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

安樂智大がつかむ目標の先にある栄光

 

9月6日現在、わずか1勝のみ。シーズン最終盤で少しでも白星を積み上げる


 2015年、ドラフト1位として鳴り物入りでの入団だったが、そこに甘んじることはない。常に目標を定め、そこに向かって努力するのが楽天安楽智大の真骨頂だ。

「やっぱり目標がないと結果もついてこないと思いますし、やっていても楽しくないと思うので」

 安楽は2月1日のキャンプインまでに、その年の目標を10個ほどノートに書き出す。その目標は12月に入った時点で考え始めるのだそうだ。

「僕のような立場ですと遊んでいる暇もないですし、オフも毎日トレーニングをしている。12月、1月とかなりしんどい思いをしてやっているので、目標がないとやっていても苦しいだけですから」

 だが、順調な調整を続けていたオープン戦期間中の3月22日、練習中に右太もも裏の肉離れをしてしまう。「若いうちはランニングの量もトレーニングの量も絶対人一倍やらなくてはいけない」と追い込んでいたことが原因のひとつだ。目先ではなく、数年後の自分を思い描き、3年目の今、できることをやったからこそでもあった。

「初の開幕ローテーションを逃したというのは痛かったです。日にちが経てば経つほど『あのときこうしておけば』とか、そういう思いはありました」

 2月に決めた勝利数や防御率などの目標はケガをした時点で実現は厳しい。追い込んできたからこそ、その分、気持ちの切り替えには時間がかかった。一進一退を繰り返すケガの回復状況に「再びケガをしたら今季はもうチャンスはない」という恐怖と「この治療で治るのか?」という不安が重なる。焦る気持ちを抑えつつ、慎重にケガと向き合う時間はとても長く感じた。

 それでも「ケガから復帰して、このくらいは仕事がしたい、こういうふうな仕事がしたい」と新たに設定し直した目標が自らを支えた。目指す場所があるからこそ、苦しくても努力を続けられたのだ。今は何勝したいかではなく、「投げる試合はチームが負けない」ことを念頭に置く。

「前半、何もしてなかった僕がピッチャー陣も苦しい状況でなんとか力になれるように、それだけを考えています」

 8月の大失速でチームは優勝から遠ざかったが、まだ日本一になるチャンスは残されている。ポストシーズンでチームを勝利に導く投球をするべく、今は結果を残すのみだ。

「チームが苦しいときになんとか歯を食いしばってゼロに抑えられるようなピッチャーになりたい」

 夢叶うまで挑戦――。理想とする投手へ成長すべく、踏ん張り時だ。そのために目標を一つひとつクリアしていく。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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