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ドラフト会議物語

【ドラフト会議物語22】目玉は明大コンビの広沢克己、竹田光訓。西武は3人で終了 【84年】

 

今年は10月26日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で53年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。

万遍なく渋めの好選手が散らばる


明大時代の左が竹田、右が広沢


1984年11月22日
第20回ドラフト会議(ホテル・グランドパレス)

[1位選手]
日本ハム 河野博文 (駒大)
大洋   竹田光訓 (明大)
南海   田口竜二 (都城高)
ヤクルト 広沢克己 (明大)
近鉄   佐々木修 (近大工学部)
阪神   嶋田章弘 (箕島高)
西武   大久保博元(水戸商高)
巨人   上田和明 (慶大)
ロッテ  笠原栄一 (佐波農高)
中日   中村武志 (花園高)
阪急   白井孝幸 (豊川高)
広島   杉本正志 (箕島高)

 やや小粒と言われた中での目玉は、明大コンビだった。21勝を挙げたエース、竹田光訓と通算18本塁打でロス五輪にも出場した広沢克己である。実際、竹田、広沢ともに3球団の競合となったが、竹田が大洋、広沢はヤクルトが交渉権を得た。ただ、プロ入り後は明暗が分かれ、3球団で19年間現役を続け、打点王にもなっている広沢に対し、竹田は一軍では1勝に終わっている。

 1位ではほかに、リリーフ投手として活躍し、いまは農業で活躍している日本ハム・河野博文や、西武では捕手として大成しなかったが、巨人では勝負強い打撃で活躍をし、のち楽天監督にもなった大久保博元(この人もいま飲み屋の厨房に立っている)、中日の正捕手となった中村武志らがいるが、前年に比べれば、かなり地味だ。

 箕島高のエースで阪神、広島と競合した嶋田章弘は阪神入団となったが、阪神は4位で兄である捕手の嶋田宗彦(住友金属)を指名し、話題となった。

 2位以下にも万遍なく渋めの好選手が散らばり、2位には、西武の名内野手・田辺徳雄(吉田高)、広島で2年連続首位打者となったスイッチヒッターの正田耕三(新日鉄広畑)、さらに南海・湯上谷宏(星稜高)、ヤクルト・秦真司(法大)、阪急・古溝克之(専売東北)らもいる。

 3位には、阪神の巧打者・和田豊(日大)、巨人の陽気な左腕エース、宮本和知(川崎製鉄水島)、さらに近鉄・山崎慎太郎(新宮高)、阪急・熊野輝光(日本楽器)。4位にも近鉄の捕手・山下和彦(新日鉄大分)、ロッテで入団から2年連続打率3割をマークした、現阪神・横田慎太郎の父・横田真之(駒大)、阪急のデカこと高橋智(向上高)。5位にもいてまえ打線で活躍した近鉄の鈴木貴久(電電北海道)、91年ダイエーに移籍し、盗塁王となった阪神の大野久(日産自動車)、巨人の人気者・井上真二(熊本工高)らの名前がある。

 阪急は6位で巧打者、現監督の福良淳一(大分鉄道管理局)が入団しているが、ほかにも一軍監督経験者は大久保、田辺、和田と多い。

 目立ったのが西武だ。3人で指名を切り上げ、去り際、球団幹部は「いま、ウチのファームにいる選手に対抗できる選手がいないのだから仕方がない」と言ったという。

<次回に続く>

写真=BBM
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