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ドラフト会議物語

【ドラフト会議物語25】立浪、伊良部ら高校生は当たり年。長嶋一茂はヤクルトへ【87年】

 

今年は10月26日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で53年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。

南海最後のドラフトは大成功



1987年11月18日
第23回ドラフト会議(ホテル・グランドパレス)

[1位選手]
阪神   野田浩司 (九州産交)
近鉄   高柳出己 (日本通運)
大洋   盛田幸妃 (函館有斗高)
ロッテ  伊良部秀輝(尽誠学園高)
ヤクルト 長嶋一茂 (立大)
南海   吉田豊彦 (本田技研熊本)
広島   川島堅  (東亜学園高)
日本ハム 武田一浩 (明大)
中日   立浪和義 (PL学園高)
阪急   伊藤敦規 (熊谷組)
巨人   橋本清  (PL学園高)
西武   鈴木健  (浦和学院高)

 最大の注目は巨人が立大・長嶋一茂を指名するかどうかだった。人気は抜群。パワーヒッターとして将来性も十分に思えた。ただ、サードには原辰徳、ほかに守れそうな一塁には中畑清がいた。父親である長嶋茂雄監督時代ならともかく、いまの監督は王貞治。巨人スカウトの微妙な動きからも迷いが感じられた。

 結果的には長嶋はヤクルトと大洋の競合でヤクルトへ。のち長嶋茂雄が監督復帰の93年に巨人入りも、プロ通算161安打と鳴かず飛ばずに終わったが、その後はタレントとして大活躍している。

 ただ、この年のドラフト1位はかなり優秀だ。ほとんど活躍できなかったのは、広島1位の川島堅と長嶋くらいで、ミスタードラゴンズ、立浪和義、快速球の伊良部秀輝、お化けフォークの野田浩司、最優秀防御率にも輝いた盛田幸妃、全12球団から勝利を飾った武田一浩、西武、ヤクルトの強打者・鈴木健、さらに伊藤敦規、高柳出己と全員が合格点と言える結果を出している。

 球団別の注目は南海。実は南海としては最後のドラフトになるのだが、指名された1位・吉田豊彦、2位・若井基安(日本石油)、3位・柳田聖人(延岡工高)、4位・大道典良(明野高)、5位・吉永幸一郎(東海大工高)、6位・村田勝喜(星稜高)と全員が一軍の戦力となった希有なドラフトでもある。

 ほか巨人2位にガッツマン、後藤孝次(中京高)、大洋3位に98年の左腕エース、野村弘(PL学園高)、中日3位に88年優勝の功労者の右腕・上原晃(沖縄水産高)、ロッテ3位に通算1827安打の堀幸一(長崎・海星高)、ヤクルト3位にオリックス移籍後、抑えで開花した鈴木平(東海大一高)。下位には中日5位・音重鎮(新日鉄名古屋)、ロッテ6位・大村巌(東海大四高)、日本ハム6位・芝草宇宙(帝京高)らの名前もある。

 また、この年はドラフト外も豊作で島田直也(常総学院高─日本ハム)、亀山努(鹿屋中央高─阪神)、進藤達哉(高岡商高─大洋)らがプロの世界に飛び込んでいる。

<次回に続く>

写真=BBM
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