週刊ベースボールONLINE

ドラフトリポート

NPB10球団と面談。沸き起こる「清宮狂騒曲」

 

早実・清宮との面談後、西武・渡辺SD報道陣の取材に対応した


 2017年の「ドラフト超目玉」をめぐって、NPB各球団がアピール合戦を展開した。早実・清宮幸太郎が10月2日、広島日本ハムを除く10球団と面談。前日まで2日間、学校では文化祭(いなほ祭)が開催され、この日は「文化祭代休」だった。9月22日の進路表明会見では、クラスで劇を披露すると語っていたが、役柄については「秘密です(苦笑)」と明かさなかった怪物。高校生としての楽しいひと時を終え、この日は、気持ちを切り替えて面談に臨んだ模様だ。

 授業がないため、朝9時30分過ぎから17時過ぎまでびっしりとスケジュールが組まれた。午前中に4球団、午後に6球団。巨人は石井一夫球団社長など10チーム中トップの5人を送り込んだ。10球団計30人が訪問し、各チームの高卒野手の育成方針、練習環境等の“プレゼン”を行った。話だけではなく“部外秘”の資料を見てもらうチームもあったという。

 報道陣は朝から約60人が張り込み取材を行った。まずは球団関係者の現場への「入り」を確認。約30分後の面談が終わると、帰り際に記者が取り囲んでのインタビュー。その“流れ作業”が計10回、繰り返された。現場にはトイレがないため、「入り」と「面談中」のわずかな合間を利用し、買い物を兼ねて近くのコンビニに向かうメディアの姿も見られた。約8時間、立ちっぱなしであるが、待つことも大事な仕事である。

 面談には野球部長、清宮本人、両親が同席したが一切、非公開で、その表情を見ることはできなかった。訪問したNPB球団関係者によると、清宮からも具体的な質問があったそうで、終始、和やかなムードの中で話は進んだという。清宮はかねてから将来的な「メジャー志向」を語っており、一部では「ポスティング容認」のような動きも出ていたが、この日の面談ではメジャー関連の話題は出なかったそうだ。清宮本人も進路表明会見で言っていたように、あくまでNPBで活躍して以降の“夢”の選択であり、当然と言えば当然である。

 プロ志望届を提出し、NPB関係者からしてみれば、初めて清宮と接触できる機会だ。

「プロ表明会見では目標を(ソフトバンク王貞治球団会長の持つ世界記録)『868号』と話していたが、あらためて意識の高さを確認できた。それがないと、プロでは活躍できない」(ソフトバンク・小川一夫編成育成部部長兼スカウト室室長)

「雰囲気があるし、好感が持てる」(巨人・岡崎郁スカウト部長)

「マスコミ慣れもしていて、しっかりしている」(西武・渡辺久信SD兼編成部長)

「(清宮が)メモ? 取っていなかったです。頭が良いから大丈夫」(DeNA吉田孝司スカウト部長)

 ヒザを突き合わせた約30分で、あらためて高校通算111本塁打を放ったスラッガーの魅力を感じ取ったようだ。過去のドラフトでの1位競合最多は1989年の新日鉄堺・野茂英雄と1990年の亜大・小池秀郎の8球団。10月26日、新たな歴史が刻まれるか注目である。

文=岡本朋祐 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング